埼玉の「救急搬送が困難」過去最多…全域で救急隊ひっきりなし 「発熱したが検査キットない」と呼ぶ人も

県内の救急搬送困難事案、過去最多に

 大野元裕埼玉県知事は17日の定例記者会見で、15日までの1週間で県内の救急搬送困難事案が1223件に上り、消防庁が調査を開始した2020年4月以降最多となったことを明らかにした。県は対策として、救急搬送の需要が増える年末年始に回線数を2倍にした救急電話相談「#7119」の体制を今月末まで維持する。

 困難事案は救急隊が医療機関に4回以上照会をかけ、現場に30分以上滞在した場合を指す。県医療整備課によると、同時期の全体の搬送件数は6979件で、困難事案が15%以上を占めた。

 「#7119」では、症状や状況を聞き取り、救急車を呼ぶかどうかを含め、対応方法をアドバイスする。同課によると、電話相談などの取り組みにより、20~21年は救急搬送に占める軽症者の割合が減ったが、22年は増加に転じ、年間を通じて5割以上が軽症者という状況が続いたという。

 年末年始は冬場の寒さで疾患が悪化した高齢者の搬送に加え、医療機関の休業などでも困難事案が増加する。昨年末から今月にかけて搬送件数が千件を超える日が続いたとし、同課の担当者は「県内全域で救急隊がひっきりなしに対応する状況だった」と説明。新型コロナウイルス感染拡大の影響で「発熱したが検査キットがない」と救急車を呼ばれる場合や、感染者の病院間での転院搬送が増加することも、救急搬送に負荷がかかる要因とした。

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