諫早・伊木力遺跡の出土品3万点 同志社大から40年ぶりに引き取り

(写真左から)伊木力遺跡から出土した土器と碇石(諫早市提供)

 長崎県諫早市は、多良見町舟津の「伊木力遺跡」の出土品約3万点を、長年保管されていた同志社大(京都府)から約40年ぶりに引き取った。縄文人の生活を伝える出土品がそろっており、市は、一般向け展示などで活用を図っていく。
 約6千年前の縄文時代前期を代表する県内でも有数の同遺跡は、伊木力川河口に位置。旧西彼多良見町と同大が1984年から2年かけて発掘調査した。
 市によると、縄文時代前期の土器や石器、縄文人が食べた動物の骨や木の実(クルミやヤマモモ、シイ)などが出土。イノシシに次いでニホンジカの骨が多く、当時の豊かな食生活を知ることができる。センダンの巨木をくり抜いた丸木舟1艘(そう)の底部分(現存長6.5メートル、最大幅76センチ)と舟を係留する約110点の碇(いかり)石も見つかり、県内の縄文時代の遺跡の中でも発掘調査直後から高い評価を受けてきた。
 一部の出土品はのぞみ会館(多良見町)で展示し、丸木舟は市立伊木力小敷地内のコンクリート製水槽で保護。大半の約3万点は調査研究などのため同大に運ばれ、学術報告書が90年に完成した後も「厚意で保管してもらっていた」(同市)。2019年から同大と協議・調整した結果、市側が引き取ることが決まり、昨年11月に帰還した。
 現在は同会館収蔵庫で保管し、学芸員が収蔵台帳を作成中。今後は展示や、地域の子どもたちに向けた講演会での活用などを計画している。市は「縄文人の生活、行動が具体的に分かる貴重な出土品。有効に活用していきたい」としている。


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