7歳の男の子がはねられ死亡 眠気におそわれ赤信号で… 運転手(63)に猶予付き有罪判決

去年10月、広島市の国道で車で7歳の男の子をはね、死亡させた罪に問われている男に、広島地方裁判所は禁錮3年・執行猶予5年を言い渡しました。

この事故は、広島市南区の嘱託社員 栗栖一弘 被告(63)が、去年10月、広島市安佐北区の国道で、軽乗用車を運転中眠気におそわれ、赤信号を見過ごしたまま時速およそ60キロのスピードで走行…。キックボードに乗って横断歩道を渡っていた7歳の男の子をはね、死亡させたとして過失運転致死の罪に問われたものです。

先月の初公判で、栗栖被告は起訴内容を認めました。法廷では検察官が男の子の両親の上申書も読み上げました。

父親の上申書より
「事故前、息子から『友達といっしょに外で宿題をする』と電話で聞いたのが最後の声で、できればもっと親子の対話をしたかった。悔しくてたまらない。なぜ過失運転致死なのか…。殺人ではないか」

母親の上申書より
「この事故がなかったら、息子も中学・高校に行き、結婚もして、幸せな人生を送っていたはず。今でも現実を受け入れられない」

19日の判決で、広島地裁の 藤丸貴久 裁判官は、「眠気という生理現象の影響もあったとうかがわれるものの、前方左右を注視し、信号表示に従って進行するという最も基本的な注意義務を怠った。7歳という愛する我が子を永遠に奪われた両親の悲嘆は想像するに余りある」と指摘。一方で、「実刑がやむを得ないほど悪質とはいえない」として、禁錮3年・執行猶予5年を言い渡しました。

事故の現場は、近くの小学校の通学路でした…。

山崎有貴 記者
「事故から3か月が経ちましたが、現場となった横断歩道のそばには今も花束や飲み物が供えられています。花束には新しそうなものも見られます」

地域の人
「わたしたちも夕方通るとき、よく子どもが帰っていますよ、通学路でね。心が痛んで、お参りさせてもらったりしたんですけどね…」

事故は男の子が青信号で横断歩道を渡っていて起きました…。

事故のあと、現場に新たにできた道路標示には、ひらがなで「みぎをみて ひだりをみて」などと書かれています。

「運転中の眠気」…。その一瞬が、大切な命を奪い、多くの人の人生を狂わせ、一生の後悔を生みます。

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