【Catch the Moment 13話】お祭りムードで盛り上がるファン

大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

11月になってしまったが、「レッドオクトーバー」というキャッチフレーズの元、熱狂的な盛り上がりをしているのがフィリーズの本拠地、シチズンズ・バンク・パーク。プレーオフ進出チームが増えた恩恵に授かって最低勝率でプレーオフに進出するもカージナルス、パドレスを撃破。勢いに乗ってワールドシリーズに進出した。

その勢いは敵地、ヒューストンからシリーズが始まっても衰えず、初戦に5点差を逆転して勝利を収めると、第2戦は敗れて、さらに本拠地のシチズンズバンク・パークでの第3戦が雨天順延になっても、13年ぶりのシチズンズバンク・パークでのワールドシリーズにファンは熱狂。圧倒的な声援で第3戦の勝利を後押しした。

5本のホームランが飛び出し、試合は5回を終わって7対0。こういった展開になると、試合のひとつひとつのアクションよりも、お祭りムードで盛り上がるボールパークの雰囲気を撮ろうと、より熱いファンがいる外野席に向かった。

How to “Catch the Moment”

外野エリアでは、熱狂的なファンが、ピッチャーが2ストライクを取る度に赤いタオルを振り回して声援を送る。またはブライズ・ハーパーが打席に立つと、「MVP」の掛け声のもと、赤いタオルを振り回す。そして無事に7対0で完勝すると、大盛り上がりでその勝利の喜びを分かち合う瞬間を、その場にいるような臨場感で撮影しようと魚眼レンズでファンの輪の中に入って撮影した。

今回ほどファンの声援が大きなワールドシリーズは久しぶりな気がする。これでフィリーズは2勝1敗とリードとなって、本拠地でのワールドシリーズ制覇に向けて、ファンのボルテージも上がるだろう。その大歓声をバックにフィリーズはワールドチャンピオンに突き進むだろうか。今後の展開からも目が離せない。

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