島津製作所(京都)が長崎に研究開発拠点 4月開設 長崎大・県立大と協業

 島津製作所(京都市)は19日、長崎大、県立大とそれぞれ協業する研究開発拠点を長崎市に立地すると発表した。長崎大とは感染症対策と海洋事業の2分野で、県立大とは情報セキュリティー分野で連携する。同市御船蔵町の長崎駅前電気ビルに4月に開設し、5年間で10人の雇用を計画している。
 県、同市、県産業振興財団が誘致した。24日に県市と立地協定を、長崎大と包括連携協定をそれぞれ結ぶ。

島津製作所が長崎大との共同研究に使用する水中無線通信装置(同社提供)

 同社などによると、長崎大の感染症関連の研究者と協力し、検査装置や検査試薬の開発に取り組む。海洋事業分野では、同社が開発した水中での高速データ通信装置の養殖設備への活用を模索。洋上風力発電など海洋設備の点検でも実用化を目指す。実証実験は同市近海で行う。長崎大、県産業労働部、同財団の3者で2020年に設置した「オープンイノベーション拠点」の枠組みで、同社と研究テーマなどについて協議を重ねていた。
 県立大とは、ソフトウエアの弱点や欠陥などを自動で探索、収集する技術を共同研究する。既に社員を情報セキュリティ学科の院生として派遣。県立大シーボルト校(西彼長与町)に4月供用開始する「情報セキュリティ産学共同研究センター」内にも入居する。
 同社は1917年設立。東証プライム上場企業。2022年3月期の連結売上高は4281億7千万円。同社コーポレート・コミュニケーション部の担当者は「3分野とも当社が注力している分野。長崎県の高い技術力を生かして研究を進め、社会課題の解決につながる製品、サービスの創出を目指す」としている。


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