ずさん工事、金額おかしい…「無料で修理します」と営業してきた会社、逮捕者が続々 2000件弱も契約か

関係先を家宅捜索し、押収品を運び出す県警の捜査員=2021年11月8日午後、東京都豊島区池袋

 埼玉県警生活経済課と朝霞署は19日、特定商取引法違反(不備書類交付)の疑いで東京都杉並区西荻南2丁目、無職の男(45)と和光市下新倉1丁目、アルバイトの男(31)、同市新倉1丁目、アルバイトの男(28)を逮捕した。

 逮捕容疑は共謀の上、2021年7月6日~8月17日ごろ、さいたま市見沼区の女性(67)や南区の男性(89)方などを訪問。火災保険申請代行業や屋根など修繕工事の役務提供契約を締結した際、同役務の対価や提供時期など法令で定める事項が記載されていない書面を交付した疑い。

 生活経済課によると、21年1月までに「日本建物検査」という会社に関し「工事がずさん。金額に見合ってない」などの相談が県や県警に複数件寄せられ、県警が捜査を開始。関係者聴取や押収資料の精査を重ね事実を特定した。

 契約書に記す「日本建物検査」は実態のない会社で、住所欄には31歳アルバイト男の住所を記載。クーリングオフについても、赤枠内に赤字で書く義務を果たしてなかった。

 男らは「火災保険を活用し無料で修理できます」などのうたい文句で訪問し屋根などを修理。火災保険を申請させ、支払われた金は当時、45歳男が社長を務めていた「TMコンサルティング」(東京都豊島区)に集約されていたとみられる。「日本建物検査」は45歳男が実質的経営者で指示を出し31歳アルバイト男が業務管理。28歳アルバイト男が契約を取りに行っていた。

 45歳男、28歳アルバイト男は容疑を認め、31歳アルバイト男は「45歳男の命令に従っただけ」と否認しているという。契約は全体で2000件弱に上るとみられ県警は関連を調べている。

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