<新型コロナ>5類引き下げ…埼玉県知事ら歓迎と懸念 「権限など必要なもの維持を」「段階的な対応経て」

大野元裕知事

 新型コロナの感染症法上の位置付け見直しが進むことについて、大野元裕埼玉県知事は19日の県専門家会議後の会見で「議論については歓迎」としつつ、急速な移行による混乱への懸念を表明。国に対し、段階的な移行を進めることと合わせ、期間を設け、国民に丁寧な説明を尽くすことを求めている。

 大野知事は「財政的措置、制限、権限をいっぺんにゼロにしてほしくない。国の予算措置がなくなれば診療・検査医療機関を継続していただけるかも分からない。権限についても必要なものは維持してほしい」と述べた。

 また、日本医師会の松本吉郎会長(県医師会所属)は同日、岸田文雄首相に「患者や医療機関が混乱しないよう段階的な対応を経て、慎重にソフトランディング(軟着陸)の形でお願いしたい」と要望している。

 大野知事と共に会見した県医師会の金井忠男会長は「一挙に移行することにはいくつもの問題が発生する」と指摘。財政的問題やワクチン接種の取り扱い、入院調整をどう行うかなど医療機関側から見た懸念点を挙げ「こうした問題を『こういう形にするべきだ』と組み立ててもらえれば、5類への見直しについて賛成するというのが日本医師会の考え」と述べ、移行した場合の医療提供体制などの在り方を、まずは国が示すべきだとの考えを示した。

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