ポルシェ963カスタマー車両のWECデビューがル・マン後まで延期の可能性「リスクを冒す価値はない」

 チームオーナーのクリスチャン・リードによれば、プロトン・コンペティションはカスタマー車両となるポルシェ963のWEC世界耐久選手権へのデビューを、第4戦ル・マン24時間レース後へと延期することを検討しているという。

 プロトンは、ハーツ・チーム・JOTAと並び、2023年のWECハイパーカークラスに1台のカスタマー・ポルシェ963で参戦する。現在のポルシェの納品計画によれば、カスタマーチームが車両を受け取るのはWEC第2戦後の4月末になるとされている。

 リードは、ポルシェ963を受け取る予定の週の終わりに行われるスパ・フランコルシャンでの第3ラウンドへの出場を、プロトンが見送ることを認めた。チームは、ハイブリッドマシンに慣れるために10日ほどのテストが必要になると推測している。

「我々はクルマを待っている」とリードは語った。

「そしてクルマを手にしたとしても、最初のレースに出る前に何日かテストしなければならない。(ポルシェの本拠がある)バイザッハからクルマを受け取ってそのままスパに行くというのは、絶対にありえない」

 スパ6時間レースへの参戦がなくなったことで、プロトンとJOTAが6月10〜11日の第4戦ル・マン24時間に参戦するための準備が整うのかどうか、気になるところだ。なお、ファクトリーチームであるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが開幕からシリーズに参戦するため、ふたつのカスタマーチームがル・マン前にレースに出場する義務はないものと考えられている。

「デイトナとセブリングの後、いつ我々がクルマを手に入れ、システム面でどうなっているかによるだろう」と、ワークスチームが最初に963でのレースを行うことについてリードは語る。

「まだトラブルが残っていたり、解決されていなかったりしたら、我々はル・マンには出場しないだろう」

「ル・マンに出るのは、うまくやれるという確信があるときだけだ。そうでないなら、(第5戦)モンツァか(第6戦)富士から参戦したほうがいい」

 プロトンは1月末のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦のデイトナ24時間にオレカ07・ギブソンで参戦し、LMDh車両におけるIMSA/WEC両シリーズへの参戦前に、クルーにプロトタイプレースを経験させる。なお、IMSAにおけるプロトンのカスタマー963がいつデビューするのかも、まだ明らかになっていない。

 プロトンのエンジニアは、ペンスキー・ファクトリーチームのテストに参加し、パッケージへの理解を深めたと、リードは語っている。

「我々は、LMDhへ地固めとなるプログラムを実行している」とリードは付け加えた。

「LMDhはトップレベルだが、我々はきちんと準備するための時間を我々自身に与えているのだ」

「急ぐことはない。リスクを冒す価値はない。我々は、本当にうまくやりたいんだ」

2022年12月、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでのIMSA公認テストで走行するポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのポルシェ963

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