『また来たい』と思う祭りに ランタンフェス実行委相談役・林さん  人の温かさも魅力

3年ぶりの開幕を前に「長崎の人の温かさも魅力の一つ」と笑顔で話す林さん=長崎市、新地中華街

 22日開幕する長崎ランタンフェスティバル。新型コロナ禍で過去2回は中止となり、中華街でも廃業する店が相次いだ。「よくここまでこぎ着けた」。仕掛け役の一人で、実行委員会企画幹事会相談役の林敏幸さん(76)は、3年ぶりにともったランタンの明かりを感慨深く見つめる。

 「中国の旧正月の風習を伝えていかなければ」。そんな長崎新地中華街の人々の思いでランタンフェスティバルの前身、春節祭が始まったのが1987年。当初中華街だけのお祭りで目玉は「ちゃんぽんの早食い」。4年目から湊公園を会場に加えたが、それでも今より断然小規模だった。
 94年、官民一体となり、現在形の長崎ランタンフェスティバルがスタート。市や商店街、自治会などとの連携は一筋縄ではいかなかったが「長崎を思う気持ちは同じ」と徹底的に話し合いを重ね、「100年続く祭り」を目指してつくり上げてきた。
 集客数は年々増え、2013年には100万人を突破。「冬の一大観光イベント」として定着した。しかし20年の同フェス開幕前、日本で初めて新型コロナ感染者が確認された。その年の動員数は56万人にとどまり、その後は2年連続で中止を余儀なくされた。
 昨年5月、博多どんたくが開催され、同フェス関係者の間で「今年はやれる」との機運が高まった。感染対策として湊公園と中央公園にステージを設けず、飲食スペースに変更。人の密集状況を見ながら、イベントの場所や時間を決めることにした。
 中華料理店「会楽園」会長で、亡き父が福建省出身の華僑だった。春節祭から数えて30年以上。当時小学生だった次男慎太郎さん(48)は今、中華街の振興組合理事長として同フェスを支える。実行委には若いメンバーも増え世代交代が進む。先日開かれた実行委の総会で林さんは参加者にこう語りかけた。「何百年の伝統を誇るいろんな祭りも長い歴史の中でいろんなことがあっただろう。コロナもその一つ。対処しながら慌てずにやろう」
 同フェスを訪れた人を対象に実行委が過去実施したアンケートで最も多かった感想はランタンの美しさ。2番目はスタッフや町の人たちの親切さだった。「長崎の人の温かさも、この祭りの魅力の一つ。関係者が一丸となって『また来たい』と思える祭りにしたい」。林さんは笑顔で話した。


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