最強寒波で「予防的通行止め」…福井県の評価とドライバーの本音 「解除見込み時間知りたい」の声に管理者は…

北陸自動車道武生IC入り口付近で通行止めを知らせる係員=1月24日午後5時20分ごろ、福井県越前市庄町

 福井県内が猛吹雪に見舞われた1月24日、北陸自動車道と国道8号、舞鶴若狭自動車道、国道27号などが約6時間にわたって同時通行止めになった。福井県の担当者は「視界不良で危険な状態だった。未然に大きな滞留を防ぐ意味では効果があった」と分析する。道路管理者は通行止めの可能性を事前に周知していたものの影響は大きく、ドライバーは、解除見通しの早期発信や次回発表時刻の明示など、より利用者目線の対応を求めた。

 北陸道と国道8号は福井県越前市から滋賀県にかけ、舞若道と国道27号は福井県敦賀市から小浜市にかけ、24日午後5時ごろから約6時間にわたり同時ストップした。過去の大規模立ち往生を踏まえ、道路管理者間で協議を重ねた上での判断。各道路管理者は21日以降、ツイッターやLINE(ライン)などで通行止めの可能性や開始予定時刻を随時周知していた。

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 中日本高速道路金沢支社は予防的な通行止めの準備を進める中、24日午後に気象が急変し視程不良となったため通行止めを開始した。通行止め情報は今冬新設したLINE公式アカウントでも随時発信し、22日夜には武生インターチェンジ(IC)-米原IC間で「24日午後」に通行止めを開始する可能性があると周知。23日午後には「24日正午~午後6時」、24日午後には「午後5時~同9時」と発表した。実際には午後5時に通行止めが始まり、午後11時半まで続いた。大規模立ち往生の発生はなく、同支社は「集中除雪により早期に通行止めを解除できたのではないか」としている。

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 幹線道路の同時通行止めを受け、武生ICで降ろされたトラック運転手は「高速が止まったら下道で行こうと考えていた。どちらか一方でも動いていてくれたら」とこぼした。別の運転手は「国交省などのツイッターで情報収集しているが、いつ発信されるか分からず仮眠もできない。解除見込みの時間が分かればいいのだが」と疲れた様子で話した。

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 解除時期について中日本高速道路は「警察とともに安全確認を行う必要があり、自社だけでは判断できない」と説明。解除見通しの早期周知については「誤った情報を知らせると混乱をきたす」と懸念する。県土木部の幹部は「今回の状況をしっかり確認した上で、関係機関と連携し対策を強化していきたい」と話す。

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 同時通行止めが行われていた24日夜、大野市の国道158号を通っていた大型トレーラーが大野市西勝原の上り坂でスタックし、後続の約20台が前へ進めず滞留した。6時間以上にわたり全面通行止めとなったが、県によると、普段より大型車の通行量が多く「石川県から名古屋市へ戻る途中で、北陸道を通るつもりだったが通行止めになった。この道は初めて通った」と話す運転手もいた。

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 県の担当者は「予防的通行止めに伴って迂回車両の流入が想定される路線や区間の措置も、今後検討する余地がある」と話した。

大雪時の予防的な通行止め 北陸自動車道と国道8号について国土交通省や中日本高速道路は以前、除雪や規制の連携によって少なくとも一方は通行可能とする「交互通行」を原則としていた。しかし、北陸道で大規模立ち往生が発生した2021年1月の大雪で交互通行が機能せず、双方で交通障害が発生したことを重視し、対策を転換。同時に止めて集中的に除雪し、早期の通行止め解除を目指すとした。

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