佐渡汽船への負担割合 県の譲歩引き出す 佐渡市と連携、「こがね丸」就航で 上越市

 佐渡汽船が3月から小木―直江津航路にカーフェリー「こがね丸」を就航させるに当たり、昨夏から県と上越、佐渡両市で調整が難航していた行政支援11億円の負担割合が25日、決着した。上越市は佐渡市と連携し、割合について県からの譲歩を引き出した形だ。
 支援については、昨年7月に佐渡汽船が船舶購入の表明と3者に支援要請をして以降、県と両市の思惑が交錯してきた。上越市は佐渡汽船が経営不振に陥った2020年に支援した際の「県5、佐渡2、上越1」を主張。しかし「県は当初、こがね丸の導入は上越、佐渡両市が望んだとして、支援に消極的だった」(関係者)。
 昨年10月、県の佐瀬浩市交通政策局長は上越市の八木智学、小田基史の両副市長に「いったん11億円全額を上越・佐渡の両市で支払い、国から特別交付税で8割の手当てを受け、(残った)2・2億円を『県1、上越・佐渡1』の割合で支払うのはどうか」と提案。両市はこれまで同航路で用いていないスキームである上、両市がいったん全額を支払うことに不審を持った。
 上越市は佐渡市と連携を密にしてきた。昨年11月、両市は県に支援に対する姿勢を問う「質問書」を送付。事務方による水面下の調整を年明けまで続けた。問題となった「両市がいったん全額を支払う」点も、特別交付税の交付が確実に行われるよう、25日のトップ会談でも県にくぎを刺した。
 負担割合の合意により、上越市は約3億7000円を来年度から3年で佐渡汽船に支払い、国から特別交付税の交付を、県から負担に応じた支援を受ける。実負担額は2800万円程度となる見通し。市は関連予算を来年度当初予算案に計上し、市議会の議決を得たい考え。
◇焦点は航路活性化へ 
 議会の議決を得られれば、今後は「こがね丸」の就航と航路活性化に焦点が移る。佐瀬局長はトップ会談で「活性化について県と両市でこれまで以上に連携していくということで確認がされた」とした。両市も3年ぶりに同航路にカーフェリーが就航する以上、旅客の誘致や利用促進策の実践は不可欠だ。今後は対立を終え、県とも「緊密な連携」が求められる。

新潟市の佐渡汽船ターミナルに停泊している「こがね丸」。船体の塗装は購入前と同じままになっている

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