なぜ掘った…古墳に大穴 「後円部」に2カ所、いずれも2メートル前後の深さ 埼玉古墳、被害時期は不明

被害に遭った埼玉古墳群の二子山古墳。掘られた穴は後円部の墳頂などで見つかった=埼玉県行田市埼玉(県教育局文化資源課提供)

 埼玉県教育局は27日、行田市埼玉の埼玉古墳群の「二子山古墳」で、人為的な穴の掘削被害が確認されたと発表した。

 県教育局文化資源課によると、二子山古墳は埼玉古墳群内で最も大きい、古墳時代6世紀前半に築造された前方後円墳。墳丘は132.2メートル、後円部の直径は67メートル、高さは11.7メートルで、普段は保護のため、墳丘部への立ち入りは禁止されている。

 穴が見つかったのは後円部の墳頂中央と、墳頂東側の2カ所で、墳頂中央の穴は直径約90センチの円形で深さ約2.5メートル、東側の穴は縦約1.2メートル、横約60センチの長方形で深さ約1.9メートル。26日午前、県立さきたま史跡の博物館学芸員が古墳の状態を確認するため、墳丘に登った際に発見し、警察に届け出た。

 被害時期や目的は分かっていない。墳丘保護のため、一部の古墳を除き墳丘に登っての状況確認は年に1回程度で、昨年3月に確認した際には異常はなかったという。

 埼玉古墳群は国指定特別史跡。5世紀後半から7世紀初めにかけ造られた9基の大型古墳が群集しており、そのうち「稲荷山古墳」からは、他の副葬品とともに国宝に指定された、115文字の銘文が刻まれた「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」などが見つかっている。

 史跡の毀損(きそん)は文化財保護法違反に当たり、県教育局は今後、被害届を出す予定。復旧については文化庁と協議し対応するとしている。

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