火災現場で死者相次ぐ 今月8人、過去5年最多 栃木県内

1人の焼死体が見つかった火災現場=21日午後4時5分、壬生町北小林

 年明けから栃木県内の火災現場で死者が相次いでいる。下野新聞社の集計では、1~27日までに足利や栃木、高根沢など4市2町で発生した7件の火災で8人の遺体が見つかった。県によると、月別の死者数は過去5年間で最多だった2020年3月の8人に並んだ。原因はそれぞれ調査中で、火の不始末とみられる火災もある。冬場で空気の乾燥が続くことから、県や宇都宮地方気象台は火の取り扱いに注意を呼びかけている。

 3日夜、高根沢町の飲食店から出火、焼け跡から経営者男性(71)の遺体が見つかった。足利市では11日夜、木造2階建て住宅が全焼し70代夫婦が死亡。他に栃木市で2人、宇都宮市で1人、壬生町で1人が亡くなった。27日には佐野市の住宅火災で1人の遺体が見つかった。各消防本部が火災による死亡かどうか調べている。

 県消防防災課によると、過去5年間の火災現場での1月の死者数は22年が5人、18年が4人、20、19年が各2人で、今年は大幅に増えた。月別では20年3月が8人で最多だった。

 捜査関係者によると、今年発生した7件の出火原因は、たばこの不始末や電化製品が原因とみられるほか、自殺の可能性があるケースもあった。5件は夜間に発生。同気象台は今年、乾燥注意報を計4回発表しており、7件中5件は同注意報の継続中だった。

 死者8人のうち、少なくとも1人は一酸化炭素中毒死だった。同課の担当者は「初期消火できない場合は、姿勢を低くして口を覆うなど煙を吸わないようにしてほしい」と話す。

 1月の火災の発生件数は各消防本部が調査中だが、複数の消防関係者は「今年は火災が多い」と危機感をにじませる。同課は(1)ストーブなどの暖房機器の近くに燃えやすい物を置かない(2)コンセント周りにほこりがたまらないようにする-といった基本的対策の徹底を求めている。

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