同じズワイガニなのに安い…福井の「ズボガニ」とは 「越前がに」地元民が愛するご当地グルメ

福井の食文化の一つとして県民に親しまれているミズガニ=2019年2月、福井県福井市中央卸売市場の「ふくい鮮いちば」

 福井県が誇る冬の味覚の王様「越前がに」。極上の味わいで高級なイメージが付きまとうが、地元では同じズワイガニにもかかわらず比較的安価で買うことができるカニがある。それは「ミズガニ」。福井では「ズボガニ」とも呼ばれ、福井の食文化の一つとして親しまれている。なぜ安いのか、普通の越前がにと何が違うのか。謎に迫った。

越前がにの魅力

 黄色いタグが目印の雄のズワイガニは、全国の産地からも一目置かれる。天皇、皇后両陛下をはじめ皇室に献上されることで有名で、1989年には福井県の魚に指定。2018年9月には、国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示(GI)保護制度」の対象に登録された。暖流と寒流がぶつかる漁場は餌が豊富で、港と漁場が近いのが売り。

ミズガニ(ズボガニ)とは

 ミズガニとは脱皮して間もない雄のズワイガニ。GI対象から外れているが、身がむきやすく比較的安価だ。最近の相場では越前がにの5分の1の値段。かに味噌の量が少ないため脚だけを食べるのが普通。安価ではあるが、「むきやすいから越前がによりズボガニの方が好き」という県民も少なくない。

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 一方、数年後に殻の硬いズワイガニに育ち、単価も上がることから資源保護のために漁期を短縮している。福井県の水産課によると、2023年は2月19日~3月20日が漁期で県内で漁港に水揚げされた新鮮なズボガニは、この頃から地元料理店などで味わうことができる。  

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