1978年「スター・ウォーズ」公開の夏 映画作りに情熱を燃やす高校生の青春物語 「Single8」ビジュアル

平成ウルトラシリーズを手掛けてきた小中和哉監督の自伝的青春映画「Single8」の本ビジュアルが公開された。

本ビジュアルは、8ミリフィルムの穴をデザインにあしらい、8ミリカメラのシルエットの中で主人公たちがポーズをとる、ノスタルジーを感じさせるビジュアルになっている。

「Single8」は、映画作りに情熱を燃やす高校生たちが繰り広げる恋と友情を描いた青春物語。1978年夏、高校生の広志は、日本で公開されたばかりの「スター・ウォーズ」を見て大興奮。自分も巨大な宇宙船を撮りたいと8ミリカメラを手にする。映画作りへの熱い思いはいつしかクラスメイトたちを巻き込み、文化祭の出し物で監督作品が上映されることになる。こうして忘れられない夏休みの撮影が始まる。

主人公の広志を演じるのは、主演映画「許された子どもたち」で第75回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞した上村侑。広志をサポートしともに撮影に取り組む友人の喜男と佐々木役を、ホリプロ初の男性ダンス&ボーカルグループWATWING(ワトウィン)で活躍する福澤希空と桑山隆太が、広志がひそかに思いを寄せ、映画のヒロインを申し出るクラスのマドンナ夏美役を、「ベイビーわるきゅーれ」の髙石あかりが務める。ほかに川久保拓司、北岡龍貴、佐藤友祐(lol-エルオーエル-)、有森也実らが顔をそろえる。

監督・脚本は、平成ウルトラシリーズを手掛けてきた小中和哉。「8ミリ映画作りに熱中した青春時代を映画にしたい!」と抱き続けていた念願の企画を実現し、仲間と一緒に情熱を傾け、一からモノづくりをすることの尊さを描いた青春映画を生み出した。

公開を記念して、横浜の映画館「シネマノヴェチェント」にて、小中和哉監督が自薦する5作品を、8日間にわたって特集上映することが決まった。オリジナル版とリメイク版を初めて同時上映する「星空の向こうの国」、ウルトラシリーズの劇場版代表作「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」「ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦」、兄で脚本家の小中千昭とタッグを組んだ「VAMP」が上映される。

また、一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■是枝裕和(映画監督)
なんだかとても幸せな気持ちになりました。
僕のように8ミリにはあまり触れてこなかった人間にとっても記憶の中にあるはずのない映画作りを追体験していくような、不思議なワクワク感に満ちていました。そこに感じたのが単純なノスタルジーではなかったのは、小中さんの中に自らの原点をもう一度確かめたいという強い前向きな動機があったからではないかと勝手に想像して嬉しくなりました。

■黒沢清(映画監督)
ああ、懐かしい。撮ってるときは何が写っているのかさっぱりわからないのが8㎜自主映画だった。
だから、出来上がった作品はいつも予想もしないものになる。あれがスタートだった。

■犬童一心(映画監督)
私も、78年の夏、初めての映画を作っていました。8ミリカメラを握りしめたときの熱い気持ち暑い夏を思い出し、もうどうして良いやら胸が張り裂けそうです。 10代の終わり、二度と戻れない夏をフィルムに閉じ込めることができた幸福な野郎どもに心から拍手。8ミリカメラは強く握りしめることができたから祈りを込めて作れたんだな。

■手塚眞(ヴィジュアリスト/映画監督)
シングル8は魔法のランプだった。それに触ればなんでもできると思っていた高校時代。学校は文字通り、映画作りの宇宙だった。
映画研究部のあの狭く汚い部室で、後輩だった小中監督やヒロインたちと過ごしたあの日々。等身大の8ミリ少年たちの青春群像は、甘く酸っぱく、ちょっと照れ臭く、しかし現代の映画少年たちも同じような夢を持ってくれればいいと、この優しい映画が未来を繋いでくれることを期待します。

■河崎実(映画監督)
学生時代8ミリ映画を同時期に作っていた同志である小中監督は、わたし同様40年以上同じことをやり続けている。
お互いプロになって映画の規模は大きくなっても、この初期衝動の熱さはなにも変わらないのだ。
改めてフィルムっていい、青春ていい。
わたしも自伝的映画作りたくなったよ。だってフィルムがたくさんあるんだもん。

■桜井浩子(女優/コーディネーター)
成る程!小中さんのルーツが分かりました。
つまり映画創りに魅せられて現在に至っているって事ですネ!
その初めの一歩の息吹を感じさせてくれる貴重な作品でした。
穏やかな作風の中に迸る熱情、気を衒わずに淡々と進んでゆくストーリー、良かったです♪
ん?コレって何処かで感じた様な、、、ワッ!飯島監督のテイストだ!

■樋口真嗣(映画監督)
忘れていた匂い。
現像したフィルムの入った紙箱を開ける瞬間に溢れ出る——
中で緩まないようにリールに詰め込まれたウレタンのブロック——
電源を入れると沸き上がる、コンデンサに負荷がかかり材質が気化して、ハロゲン球に積もった埃の焦げるような——。
波のようにどんどん押し寄せてくる匂いたちよ。

あの日々を生きていた何者でもなかった自分たち。
そんなもの作ったところで何か変わるなんて保証もなく、
それでも説明出来ない何かに突き動かされていたあの日々。
そいつは甘いけれど、とても苦い。

ちくしょう。還暦前なのに。
あの日々の思い出に浸れる甘美な幸せなんかまだ知りたくなかったのに。

■蜂須賀健太郎(映画監督)
『Single8』、素敵な青春映画でした。
僕も8ミリ映画出身だから、とても共感するところがありました。
高校生の熱き自主映画作りを描いたこの作品は、時代を超える普遍性も持っているのだと思います。70年代のノスタルジーはもちろん、モノ作りを通した仲間たちとの成長を軸にしたことで、現代の青春映画としても、楽しむことができるような気がしました。特に出演している若い俳優さんたちが魅力的、ナチュラルな演技で、テンポよく、最後まで「小中ワールド」にどんどんと引き込まれてしまいました。
世代を超えて、多くのみなさまに観ていただきたい映画です。

■本広克行(演出/映画監督)
僕が映画学校で学んでいた頃に『星空のむこうの国』(1985)を観た。
当時は同世代で自主映画を作る人間として作品の完成度にとても感動し落ち込んだ。どうやったこんな作品が作れるのかを知りたかった。
そして、2023年、映画『Single8』で当時のネタを明かしてくれた。
しかもストーリーには、僕が一番好きな80年代青春映画のテイストが入っていて、鑑賞後には感動して、また落ち込んだ。
ラストシーンの考察などいろいろ知りたくてすぐに、クラウドファンドに入って監督のカット割台本を入手して分析していたら、なんとエンドロールに自分の名前を入れてもらえるとは、スクリーンで観に行きたい!
いくつになっても映画ファンになれる作品です。

■上田慎一郎(映画監督)
映画好き男子高校生が文化祭のクラス展で映画を作る!と言い出し想い寄せる女子にヒロインを頼み…って俺の話やん!って刺さりまくってたら監督のほぼ実話との事。
世代を超えた共通体験に感慨。
映画作りの醍醐味が詰まってた。
映画づくり映画の新たなマスターピース。

■金田龍(映画監督)
8ミリ映画はかつて「小型映画」と呼ばれていた。
この映画は無限の宇宙空間に小型宇宙船で挑む少年たちの物語りだ。

小中さんと同世代の自分も8ミリに出会った頃の初恋のような切なさに動かされました。
70年代の回想録ではなく、今を生きる少年少女たちにこそ観てほしい映画です。
8ミリフィルムの優しい手触りに小中さんの宇宙が詰まっていました。

【作品情報】
Single8
2023年3月18日(土) よりユーロスペースほか全国順次公開
配給:マジックアワー
©『Single8』製作委員会

© 合同会社シングルライン