大寒波で恵みの雪も「客の分散」「電気料金6割アップ 」リフト券も100円値上げ スキー場の苦悩

先週から続いた寒波もようやく終わりが見えてきました。ここ数年、雪不足に悩まされていた広島県のスキー場もにぎわっています。雪があってこそのスキー場ですが、来場客の伸び悩みや料金の値上げなどで、課題も抱えています。

RCCウェザーセンター 末川徹 気象予報士
「ゲレンデの上には、島根県から来た小学生を対象としたスキー教室が行われています。子どもたち、非常に滑るのが楽しそうです」

北広島町にある「やわたハイランド191リゾート」です。県内外から訪れたスキーヤーやスノーボーダーが、新雪の感触を楽しみながら滑っていました。

訪れた人たち
「天然雪が積もっていて、状態は良い」
「(雪が)フワフワで、気持ちよく、酔っぱらっている感じ」
「(4歳の娘が)去年、初めてソリ遊びをして楽しそうだった。ことしはボードをやってみようと…」

北広島町八幡の降雪量などを比較したグラフです。昨シーズンは、1日10センチ程度降ったこともありましたが、それほど、まとまった雪はありませんでした。積雪は、最大で50センチあまりにとどまりました。

一方、今シーズンは、去年のクリスマス寒波をはじめ、短期間で多くの雪が積もりました。年明けは、いったん寒気が緩み、雪解けしたものの、今回の寒波で100センチ超えの積雪を観測しました。

行動制限も緩和され、ことしこそ、にぎわいが戻ってくると期待していましたが、「来場客の急増」にはつながっていないようです。冬のレジャーが多様化しているというのです。

やわたハイランド191リゾート 田辺俊則 社長
「スキー場ではなく、(客が)広島のいろいろな場所に分散化した。(コロナ禍で)2年近く現場から遠のいた客がまた訪れてもらうタイミングがずれている感じ。なかなか思うようにいかない」

日本生産性本部の「レジャー白書」によりますと、スキー・スノーボード人口は、1998年の1800万人をピークに減少の一途をたどり、2021年はその5分の1以下の280万人まで落ち込んでいます。

加えて、ここ数年、県北の山地でもまとまった雪が降らない「記録的な暖冬」もあり、スキー場の閉鎖や営業中止が相次ぎました。さらに、今、全国のスキー場ではリフト券の値上げが相次いでいます。

やわたハイランド191リゾート 田辺俊則 社長
「スキー場経営に大きな影を落としているのは、電力問題。電気料金が昨シーズンと比べると、6割以上あがっている。非常に厳しさが増してきている」

燃料・電気代の上昇分は、「企業努力の範囲」で何とかまかないたい…。ただ、今シーズンは、人件費の不足分を補うため、やむを得ず、一部の来場客を除くリフト券を100円値上げしました。

やわたハイランド191リゾート 田辺俊則 社長
「今シーズン、(全国では)500円以上値上げしているスキー場もある。経営していくためには、じゃっかんのご負担、値上げという形を取らざるを得ない」

経営が苦境に立たされる中、スキー場ならでは「雪の楽しみ方」を模索していきたいということです。

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