サッカーPK戦で勝つ秘策、数学にアリ…福井の中学生が考えた「公式」全国コンクールで最優秀賞

サッカーのPKに関する自由研究で最優秀賞に輝いた高村樹輝さん=福井県福井市の福井大附属義務教育学校

 福井県の福井大学附属義務教育学校7年(中1)の高村樹輝さんが、小中高生の算数・数学の自由研究を対象にした全国コンクール中学の部で最優秀賞に輝いた。サッカーのPKをどこに蹴れば確実に入るかという難問に、数学の知識や実験などで挑み、応募約1万3千点の頂点に立った。受賞を機に「数学の世界をもっと楽しみたい」と意欲を燃やしている。

 コンクールは理数教育研究所(大阪市)が主催し、昨年9月に作品を募集。福井大附属義務教育学校は夏休みの課題の一つとして、7~9年の全員が提出した。

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 サッカー部に所属する高村さんは、小学5年時の地区大会でPK戦で敗れた悔しさが今回の研究のきっかけになった。鍵となったのは、直角三角形の斜辺の長さを残り2辺から求める「三平方の定理」。この定理を応用すれば、キッカーと蹴ったボールの距離を導き出せると気付いた。

 ボールとキーパーが動く速さを当てはめることで、ゴールの中心から何メートル外側に、どれくらいの高さで蹴ればキーパーが届かないかを計算できる公式を考えだした。自分が蹴ったボールの速さやキーパー役の友人の動きを実際に測定し、公式の有効性を検証。PKが入る領域を図示した。中学生のリアルなデータを活用した点も審査員から高く評価された。

 コンクールの表彰式があった昨年12月18日は、サッカーワールドカップの決勝当日。スター選手たちの白熱したPK戦を研究成果と重ねながらテレビ観戦した。「フェイントを入れて確率を高めることも多い。PKは奥が深い」と改めて感じたという。

 今回の研究では「キーパーは足でボールを止めない」など条件を単純化した。今後はより複雑な条件で研究を深める考え。「いずれはPK以外にも応用できる究極の公式をつくりたい。そうすれば僕は得点王になれる」

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