<南風>地道に積み重ねる

 私が「多様性の啓発活動」を始動したのは2020年だ。いわゆるLGBTQに属する性的少数者の当事者として、たくさんの理由で悩んでいる当事者がいることを関心のない層へ知らせるきっかけとして、楽しく自然に知れる場をつくろうと思ったのだ。

 私はさまざまな企画をし、出店作家さんに虹色をテーマに作品を製作してもらいマルシェをしたり、たくさんのカップルを撮り続けているカメラマンの大脇恵太氏の写真を通して、異性愛、同性愛、その他の想(アイ)のカタチを展示したり、想をテーマに3組の絵画アーティストによる作品を展示したことがある。他にもトークショーを催したり、YouTubeで身近な人に「私に同性を好きなんだと言われてどう思った?」などを質問してみたり…。できることを地道にコツコツやっている。

 次に試みる取り組みは、丸正印刷株式会社さんと共に沖縄県の事業として計3回の親子で参加できる催しを2~3月に予定している。情報は“比嘉利加”と検索して私のウェブサイトからチェックしてほしい。

 この活動は本当に地道すぎる。パートナーシップやファミリーシップの制度導入要望で、署名を集めて陳情したり、市町村議員さん何名かに一般質問で取り入れてもらったりした。結果は市民への啓発で周知が先だと行政は言う…。

 え、逆でしょ。と私は思う。制度を作成し多様な生き方の理解促進などを啓発する。その方が自然に多様性を身近に感じるはずだ。

 カップルだけの話を伝えたいわけではない。一番伝えたいことは男女の「らしさ」ではなく、自身の個性や考えをありのまま表現でき、たとえどんな人(物)を好きになろうと違和感や不安を感じることなく自然体で暮らせる環境になってほしいのだ。私にとっての平和活動である。

(比嘉利加、フリーランス)

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