「ビッグクラブに身を置く覚悟と自信」V長崎からG大阪へ DF江川湧清

練習中に笑顔を見せるG大阪のDF江川=沖縄県中城村、吉の浦公園ごさまる陸上競技場

 長崎県南島原市出身のJリーガー、DF江川湧清がJ2のV・ファーレン長崎から今季、J1のG大阪に移籍した。「一人一人の質が常に高いけれど、やれないわけではない。勝負していきたい」。開幕前キャンプで調整に励む22歳は、ビッグクラブに身を置く覚悟と自信をのぞかせた。

 沖縄県南部の陸上競技場。ガンバカラーの青いウエアで練習に現れた江川はやや緊張した面持ちだったが、若手のチームメートとリフティングを始めると、表情が和らいだ。
 「長崎とはいろいろな面で規模が違う。びっくりすることも多いけれど、少しずつなじんでいこうと思っている」。早くチームに溶け込んで、戦力として認められようと日々、奮闘している。
 175センチ、67キロ。V長崎では下部組織出身者として初めてトップチームで公式戦に出場するなど道を切り開いてきた。2019年にプロ契約を勝ち取った後も決して序列が高かったわけではなく、1年目は春に前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負ったが、腐ることなく地道に力を蓄えた。
 20年に公式戦デビューを果たし、21年には本職のセンターバックで起用されると、屈強な外国人にも競り負けない対人の強さを発揮。22年は副主将を務め、ビルドアップでも成長の跡を示した。そこに目を付けたのがG大阪だった。オファーが届いた時は育ててもらったV長崎への恩義を感じて「簡単な決断ではなかった」と打ち明けるが、自らの可能性を信じて長崎を巣立つ決意をした。
 定位置争いが今までにも増して厳しいことは痛いほど分かっている。それでも「チャンスは必ずある」と前向きだ。キャンプ中は、今季からチームの指揮を執るスペイン人のポヤトス監督と1時間近く面談して自身をアピール。「縮こまる必要はない。チャレンジしてほしい」と声をかけられ、一段とやる気になっている。
 V長崎時代のファンからの応援は今も十分に感じている。「長崎から育った選手が日本や世界で活躍できれば長崎の人も喜んでくれるはず。一番は目に見える結果で返したい」。J1に“個人昇格”を果たした長崎の出世頭は、貪欲に上を目指す。


© 株式会社長崎新聞社