取材中も次々落下… 強烈寒波から一転 「屋根からの落雪」に要注意 この冬には死亡事例も

「10年に一度」とも言われた強烈な寒波で厳しい寒さが続き、先週末には1メートルを超えた地域がある中で、危険性が高まっているのが「屋根からの落雪」です。新雪にくらべて時間がたった雪は非常に「重く」なります。あす(2月1日)はさらに暖かくなるために注意が必要です。

取材中にも次々と屋根から雪が…

広島県で最も雪の多い地域の一つ、北広島町八幡です。きのう(30日)までの1週間、断続的に雪が降り続きましたが、きょう(31日)は久々に朝から青空が広がりました。

RCCウェザーセンター 末川 徹 気象予報士
「うわ、これスゴイです。つららが何本も並んでいる。長いモノで数十センチ…龍のカギ爪のようです」

八幡にある気象庁のアメダス観測点では土曜日にこの冬初めて積雪が1メートルを超え、1月29日午前5時には1メートル11センチを記録しました。

RCCウェザーセンター 末川 徹 気象予報士
「降り続いた雪の影響で、屋根からせり出している雪もある。上から落ちてきたら非常に危険です」

天候の回復と急な気温の上昇で起こりやすくなっているのが「屋根からの落雪」です。取材中にも複数の住宅の屋根から大量の雪がすべり落ちる様子が確認できました。

雪かきをしていた地元の人
「いつも見上げてから除雪作業を始める。見上げてあそこ落ちそうねという時には近づかないこと」

屋根から落雪が直撃 大けがや死亡したケースも

2021年1月、北広島町で撮影された映像では、屋根の上の大量の雪が一瞬にして軒下を埋め尽くす様子が記録されています。雪の多い地域では、こうした屋根からの落雪に巻き込まれて命を落とすケースが後を絶ちません。

去年12月のクリスマス寒波でも、安芸高田市で80代の女性が、自宅周辺の雪の中から死亡した状態で見つかりました。屋根からの落雪による圧死とみられています。

では、屋根から落ちてくる雪の衝撃はどれくらいあるのでしょうか。

防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの実験では、人がのっても壊れない木の箱に雪のかたまりが屋根から落ちてくると…。箱は衝撃で大きく壊れました。

引っ越しなどで使う段ボール箱程度の雪のかたまりでも、車の屋根が凹んでしまうほどの衝撃があります。

RCCウェザーセンター 末川 徹 気象予報士
「道路脇には除雪された雪もあって太ももの高さくらいまで雪が積もっています。感触を確かめてみますと…。新雪のようなパウダースノーではなく、かなりまとまりがある、そして水分を含んで重いです」

積もった雪は時間がたつにつれてしまって固く重くなるのは、みなさんも経験があると思います。一般的に積もった雪の密度は以下のように変化します。

新雪:0.03~0.15g/cm3 ← 降った直後 こしまり雪:0.15~0.25g/cm3 ← 2~3日経過 しまり雪:0.2~0.5g/cm3 ← さらに数日経過 ざらめ雪:0.3~0.5g/cm3 ← 一部とける or 雨が降る

特に北陸や山陰・広島県北部などは、気温が高いため、新雪のあと、数日後には水分を多く含んだざらめ雪に変わることが少なくありません。そうなると、降った直後に比べて密度が3倍から10倍程度も大きくなって非常に「重い雪」となります。

地元の人は
「あぁ、(屋根から)落ちた落ちた。きのうの朝と比べて、さらに落ちたから今のようになっている。屋根と雪の間に氷みたいなのがあって、落ちたら今のようになる。これは(重くて)大変、除雪するのに」

強烈な寒波は過ぎ去りましたが、今週は気温変化が大きく、2月のスタートは昼間の気温が平年よりもかなり高くなる見込みです。多くの雪が残る県北の山あいでは、強烈な寒波が過ぎても雪への注意が必要な日々が続きます。

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