長男の前じゃ「もう打てない」 スピースは断崖絶壁からの一打を後悔?

2022年大会のジョーダン・スピース。8番でヒヤヒヤのショット(Kent Horner/Getty Images for AT&T)

◇米国男子◇AT&Tペブルビーチプロアマ 事前(1日)◇ペブルビーチGL(6972yd、パー72)、スパイグラスヒルGC(7041yd、パー72)、モントレーペニンシュラCC(6934yd、パー71)

昨年は最終日に首位に立つなど大会2勝目に迫ったジョーダン・スピースだが、ハイライトは3日目にあった。ペブルビーチGLの8番で、まさに息をのむような一打が出た。

崖の上のフェアウェイから、セカンドで海の向こうにあるグリーンを狙っていくホール。スピースのボールはレッドペナルティエリア内、目の前は断崖絶壁というネイティブエリアに止まった。転落の危険から制止するキャディの意見にも耳を貸さず、そのまま打つことを選択。7Iを振り抜いた後は左下がりのライで勢い余って落ちないようバックステップを踏んで事なきを得たものの、本人はもちろん、周囲が肝を冷やしたのは言うまでもなかった。

昨年11月、当地で家族とプライベートラウンドを回った際にも思わず“現場”を確認してしまったという。「もしボギーで終わっていたら、これまでで最悪のジャッジのひとつになっていたよ」。結果的に左奥のラフからパーセーブしたことにうなずきつつ、「もう打てないと思う」という言葉の裏には21年11月に生まれた長男・サミーくんの存在も大きい。「当時は生まれて間もなかったけど、多くのことが分かるようになってきた」と話す。

ちなみに今週ペブルビーチGLを下見したスピースによると、今年はラフが深くなっており、従来なら転がり落ちていたボールが崖の上に残る可能性もあるとのこと。「お勧めはできない。実際のところ、僕は後悔しているんだ」。後方にドロップするのが賢明との見方を示し、苦笑した。(カリフォルニア州ペブルビーチ/亀山泰宏)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン