佐藤万璃音が耐久レースに挑戦。ジャービス、ハンソンとともにユナイテッドASからELMS参戦へ

 ユナイテッド・オートスポーツは2月2日、2023年のELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦する3台目の体制を発表。LMP2クラスに参加する22号車オレカ07・ギブソンのドライバーに、フィル・ハンソン、オリバー・ジャービス、佐藤万璃音の3名を起用することを明らかにした。

 マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンが共同オーナーを務めるユナイテッド・オートスポーツは、イギリスに拠点を置く強豪スポーツカーチームだ。ELMSやWEC世界耐久選手権のLMP2クラスなどで活躍し、2020年には両シリーズでシリーズチャンピオンを獲得。同年のル・マン24時間でもクラス優勝を飾った。

 また、同チームは2017年以降のELMSで最多ポイント、最多勝、最多ポールポジションを獲得している。

 そんなユナイテッド・オートスポーツは、昨シーズン3位に終わった欧州スポーツカーシリーズでの3年ぶりとなる王座奪還を目指し、新しいドライバーラインアップを構築した。3台体制を敷く同チームはその中で唯一未発表であった22号車でハンソン、ジャービス、万璃音のトリオを確認している。

 イギリス出身のハンソンは23歳と若手ながら今季でチーム所属6年目を迎え、これまでのキャリアでWEC、ELMS、ル・マンでLMP2チャンピオンとなっている。一方、ベテランのジャービスはアウディとマツダでワークスドライバーを務め、日本のスーパーGTでも活躍。39歳のイギリス人は、昨季2022年はメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-05を駆りデイトナ24時間を制しただけでなく、IMSA DPiラストイヤーの年間タイトルを獲得した。

 彼らと22号車オレカ07をシェアする万璃音は、2019年にユーロフォーミュラ・オープン選手権のチャンピオンを獲得し、同年途中から2022年にかけてF1直下のFIA-F2に参戦した。ハンソンと同じ23歳の万璃音は、2020年にはアルファタウリF1からアブダビで開催されたF1ルーキーテストにも参加している。

 2023年に向けては、年始に掲載した独占インタビューの中でニック・デ・フリースを例に挙げ、「フォーミュラカーに乗れれば良いですが、そこにこだわらなくてもチャンスはあるかなと最近は思っています。たとえばLMP2」と語るなどプロトタイプカーレースに初挑戦する可能性を示唆していた。

2022年ELMS第5戦スパ・フランコルシャンで優勝したユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソン

■佐藤万璃音「最初のテストが待ち遠しくて仕方ない気分」

 体制発表の後、万璃音は「自分を信頼してくれたチームと、今回の契約を結ぶにあたって協力してくださった関係者の皆さんに心より感謝しております。自分にとって新たなチャレンジですが、最高のシーズンとなるように頑張りますし、最初のテストが待ち遠しくて仕方ない気分です」とチームリリースにコメントを寄せた。

 チームメイトととなるハンソンは、「新たなシーズンをユナイテッド・オートスポーツと迎えられることを光栄に思う。一昨年、昨年と2位、3位で終えたので、さらに体制的にパワーアップして2度目のタイトルを狙う」とコメント。

 2022年はユナイテッド・オートスポーツからWECに参戦したジャービスは、「フィル(・ハンソン)や万璃音と一緒にこのチームに参加できて、非常にうれしく思っている。フィルとは長く良い関係だし、万璃音と一緒に仕事をするのも楽しみだ」と語った。

「自分にとってELMSのフルシーズンに参戦するのは初めてだけど、チームは充分な実績を持っているし強力なチームメイトにも恵まれたので、必ず優勝できると2023年シーズンに対して自信を持っている」

 共同オーナーのリチャード・ディーンは、「最高のドライバーラインアップを揃えることができた。ふたたびヨーロピアン・ル・マン・シリーズのタイトルを獲得するために、最善の努力を尽くすつもりだ」と述べている。

 なお、ユナイテッド・オートスポーツは姉妹車である23号車オレカ07・ギブソンのドライバーとして、ジム・マクガイア、ガイ・スミス、ポール・ディ・レスタの3名を指名している。また、チーム初のLMP2プロ・アマエントリーとなる一台には、ダニエル・シュナイダー、アンディ・メイリック、そしてネルソン・ピケJr.が乗り込むことをアナウンス済みだ。

© 株式会社三栄