神奈川・小田原の公設市場、水産単独で再整備へ 誘客施設など併設 漁業者の反対で青果と統合せず

来年度以降に建て替え再整備に着手する小田原市公設水産地方卸売市場=同市早川(2022年1月5日撮影)

 農業者の高齢化による取扱量の減少などから統合が検討されていた神奈川県の小田原市公設地方卸売市場の青果市場(同市酒匂)と水産市場(同市早川)について、同市は3日までに、漁業者の反対などから両市場を統合せず、水産市場を単独で建て替えて誘客施設などを併設し、新たな観光資源として再整備する方針を固めた。今年4月から2年程度かけて基本構想・計画の策定を目指す。

 1971年に開設した青果市場は小田原厚木道路インターチェンジにも近く、県西部の台所を長年支えてきた。しかし生産者数の減少に加え、市場を介さない小売業者の取引も増えたことから、取扱量は89年度の約4万9千トン(111億円)から2019年度には約1万8千トン(47億円)となり、29年度には約1万トンまで落ち込むと見込まれる。

 一方で、1968年に開設した水産市場は塩害による老朽化が進み、設備も手狭で衛生面の機能強化も必要なことから、2014年に水産関係者から施設建て替えの要望が市にあった。市は21年から水産市場の再整備に合わせ、青果市場との統合を協議してきた。

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