「長崎を見ることは重要」 EU駐日大使ら ウクライナ危機受け被爆地訪問

原爆落下中心地碑に献花した後、記帳した内容を説明するパケ大使(手前)=長崎市、爆心地公園

 欧州連合(EU)のジャンエリック・パケ駐日大使と、EU加盟国のうち21カ国の駐日大使が3日、長崎市の長崎原爆資料館を訪れ、被爆の実相に触れた。ロシアがウクライナに侵攻し、核の威嚇を繰り返す中、パケ氏は「世界の人々が長崎を見ることは非常に重要だ」と被爆地訪問の意義を語った。
 駐日EU代表部と、EU加盟27カ国の駐日大使館が毎月開く定例会の一環。EUはウクライナを支援する上で、原爆投下から復興を遂げた長崎市との連携を深めたいと企画した。地方での開催は初めてという。
 資料館では見学のほか、田上富久市長が当時の被害状況や復興の歩みを紹介し、世界の指導者の被爆地訪問などを要請。ウクライナ危機で核使用のリスクに直面しているとし、「核兵器は使ってはいけないというメッセージを多くの国が共同で発することで世界にとって喫緊の課題だと伝わる」と呼びかけた。
 長崎大名誉教授で県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)から原爆の人体への影響などについて話を聞いた後、爆心地公園で原爆落下中心地碑に献花した。
 パケ氏は資料館訪問後の記者会見で「(被爆した)人々の苦しみが心に残った。原爆の使用がどのような意味を持つのか。実際に見て、繰り返し思い出すことで行動が変わってくる」と述べた。
 一行は2、3の両日滞在し、長崎純心大の学生らとも交流した。


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