長年続く船の不法係留、くい撤去と監視カメラで減少 福井県敦賀市の井の口川、県が根絶目指す

井の口川への小型船舶不法係留対策のため福井県敦賀土木事務所が設置した監視カメラ=2月2日、福井県敦賀市櫛川

 福井県敦賀市の井の口川に不法係留されている多数の小型船舶について、2022年の1年間は前年と比較して約2割減ったことが2月2日までに福井県の調査で分かった。不法行為禁止を訴える周知活動に加え、くいやロープなど違法工作物の撤去、監視カメラなど一連の対策に効果があったとみられる。県敦賀土木事務所は「粘り強く同様の取り組みを継続し、強化することが重要と考えている」として根絶を目指す。

 県によると、釣りを楽しむためのボートや水上バイクなどを井の口川に不法係留する問題は20年以上前から続いている。20年までの5年間で河口付近に架かる花城橋から沓見橋までの約950メートルの間に確認されたのは70~80隻で推移。例年冬場に減少するが、21年11月の調査では60隻の不法係留を確認した。くいやロープ、鎖などの違法工作物は846カ所で設置されていた。

 こうしたことから県は22年3月、違法工作物232カ所を撤去。8カ所に監視カメラを設置して警戒を強化した。さらに同月、国や市などと不法係留問題解消に向けた「井の口川水面利用検討会」を設立した。

 その後の調査では5月に55隻、7月と10月は61隻、12月は49隻と不法係留が2割程度減少したことを確認した。かつては沓見橋の下をふさぐように係留されていた10隻は2月2日現在で1隻にまで減少している。

 県は12月時点で係留を続けていた所有者37人に対して河川法違反として撤去を指示。また、10~12月の間に係留をやめた延べ13人には再び係留しないよう依頼する確認書を送付した。県敦賀土木事務所の担当者は「不法係留防止に向けた啓発活動や、恒久的な係留施設のあり方の議論など効果的な対策を検討していきたい」としている。

不法係留問題とは

 河川法では船舶の係留や、係留のためのくいなどの設置は河川管理者の許可が必要と定めており、個人的な利用目的は許可されない。高潮や大雨の際に、不法係留された船舶が流出して橋脚などにひっかかり、川をせき止めて氾濫の原因になるほか、護岸の破壊などにより被害を拡大させる恐れがあり禁止されている。違法行為には事案に応じて1年以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則規定もある。福井県内では坂井市の九頭竜川河口域でも不法係留が問題となり、2007年に国と県が所有者不明の17隻を簡易代執行、08年に国が1隻を行政代執行で撤去した。

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