「沖縄県民」を理由にした不当な差別、対象に明記 沖縄県のヘイト条例案 罰則は見送り 県議会に提案へ

 沖縄県は6日、差別的言動(ヘイトスピーチ)防止を目的に制定する「県差別のない人権尊重社会づくり条例(仮称)」の概要を発表した。差別解消に向けた対象に、骨子案に明記されていなかった「県民であることを理由とする不当な差別的言動」を盛り込んだ。条例案は14日開会予定の県議会2月定例会に提案する。条例は可決されれば4月1日から施行。外国人に対する差別については周知期間が必要なことから10月1日から施行する。3年後をめどとした見直し規定も盛り込む。
 県民であることを理由とした差別的言動は、意見公募の段階では「インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷」の枠組みの中に含まれていた。県は、街頭でも県民に対する差別的言動が行われている実態を踏まえて、条文内に格上げして対策を強化することを決めた。
 本邦外出身者(外国人)などを対象とした差別的言動については、外部有識者による審議会で表現が差別に当たるかを諮り、該当する場合には表現内容の概要や氏名の公表といった啓発の取り組みを行う。一方、罰則の導入は見送った。
 県は2023年度当初予算案に条例の周知や相談体制の整備にかかる経費などとして約1千万円を盛り込んだ。24年度には差別の実態把握や県民の意識調査を行う。
 インターネット上などでは県出身者であることを理由した「沖縄ヘイト」が流布しており、県が昨年11月末に公表した条例骨子案にはネットの上の沖縄ヘイトを対象としていたが、市民団体からは県民に対する取り組みが弱いとして異論が噴出していた。
 条例案では差別的言動への対策を講じる対象として県民のほか、外国人を明記したほか、性的少数者を盛り込んだ。条文など詳細については今後、議会で検討されるとみられる。
(梅田正覚、知念征尚)
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