「放置されている山買います」材木屋の挑戦 建材やバイオマス燃料として販売、福井県鯖江市の井波木材

個人が所有する県内の山林を買い受ける事業を始めた井波木材の担当者=福井県鯖江市川島町

 建設、製材、林業などを手がける井波木材(福井県鯖江市川島町、井波雅博社長)は、個人が所有する福井県内の山林を買い取り、建材やバイオマス燃料として販売する事業を始めた。放置されている山林を有効活用し、県産材振興につなげたい考えだ。井波社長は「自社で山を持つことで木材などを量産できる体制を整えたい。山を適切に管理することは自然災害の減災にもつながる」と力を込める。

 山林の購入金額は1ヘクタール当たり8千円で、合計千ヘクタールまで買い受ける。井波社長は「福井の山は持ち主が細かく分かれており、親世代から受け継いだまま放置されている場所が増えている」という。▽所有山林の場所が分からない▽隣との境界が不明瞭-などの場合も相談に応じるが、条件によっては買い取りできないケースもあるとしている。

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 取得した山林の木を使って、ハウスメーカーや工務店などへの住宅用建材販売、木質バイオマスボイラーの導入施設向けに燃料のペレット生産を予定している。井波社長は「化石燃料の高騰で電気代が上がっている中、エネルギーの選択肢として木質バイオマスにも注目が高まっている。企業の脱炭素の取り組みにも貢献できる」と話す。

 昨年11月末ごろから売却希望者の募集を始め、1月上旬までに約30件の相談が寄せられている。面積は1ヘクタール未満が多く、親から相続したが管理できず手放したいとの理由が多いという。

 県によると、県内の私有林は約23万4千ヘクタール。そのうち人工林は9万4千ヘクタールで、多くは昭和40~50年代に植えられたスギなどが伐採期を迎えている。山の保全の意味でも、主伐して再造林することが喫緊の課題になっている。

 同社は「山林を手放したくても買い手が見つからず、売ることができない人たちの受け皿になりたい。気軽に相談してほしい」としている。相談、問い合わせは井波木材=電話0778(65)1114。

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