白い湯気から香り“ふわり” 「ゆで干し大根」づくり最盛期 西海・面高

最盛期を迎えているゆで干し大根作り=西海市西海町

 平戸島などを遠くに望む長崎県西海市西海町の面高地区で、特産の「ゆで干し大根」づくりが最盛期を迎えている。海を見下ろす断崖絶壁や沿岸に立つやぐらの干し台には、ゆでたての大根が次々と広げられ、白い湯気と独特の香りを漂わせている。
 海から吹きつける強い北西の風を利用した同町の伝統保存食で、市の「ブランド逸品」の一つ。約25戸の農家が一般的な青首大根より大きい専用の品種「大栄大蔵(だいえいおおくら)大根」を育てて加工。煮物やサラダなどの食材として人気があり、JA長崎せいひなどを通じて九州内や関西へ出荷されている。
 今シーズンの作業は、昨秋の台風などで大根の生育に影響が出たため、例年より少し遅い12月上旬に始まった。収穫した大根を洗い、皮をむいた後、約1センチ幅の千切り状にカット。沸騰した湯で10~15分ゆで上げ、やぐらへ運ぶ。風の強さなどを踏まえながら干し台に広げ、一昼夜かけて満遍なく乾燥。うま味や甘みが濃縮され、あめ色に変わっていた。
 家族ら5人で作業に当たっていた同JAゆでぼし大根部会の加藤靖規さん(45)は「ミネラルをたっぷり含んでおり、お薦めです。ぜひ味わってほしい」とPR。生産は今月いっぱいまで続く。


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