ロジクトロン、最大積載量55kgの大型運搬用ドローンによる物流実証実験を実施。荒川を渡河するルートを9往復

55分間で荒川を渡河するルート(約250m)を9往復、約230kgの緊急支援物資のピストン輸送に成功した。

荒川下流部は人口や資産、社会経済活動の中枢機能が集積しており、将来的に河川上空において複数のドローンによる飛行が想定されているという。国土交通省の取り組み「河川上空を活用したドローン物流の更なる活性化に向けた実証実験」に参加している国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所が主催する荒川下流管内におけるドローンの実飛行による実証実験に日本有数の産業用大型運搬ドローンXYZ55を所有するロジクトロンが参加することになったという。

離陸の様子
実験は墨田緊急用船着場-堀切緊急用船着場間(約250m)で行われた

ロジクトロンが所有するXYZ55はペイロード(最大積載量)が55kgと国内最大級の運搬能力を誇る機体で2台のプロポを切り替えて運用することが可能なため、離陸地点、荷降ろし地点それぞれでオペレーターが目視により精密な操縦ができる仕様となっているという。

XYZ55機体全景

ロジクトロンでは林業や山間部の土木・建設現場でXYZ55を使用した荷上げ・運搬業務のほか、ドローン測量、空撮、DIPS2.0コンサルティング等の事業展開をしており、今回はXYZ55で災害発生時等における緊急支援物資の運搬を想定した実証実験を計画。1月20日10:30現地入り、立入管理区画の設置をはじめとする各種準備後、12:00より空荷でのテストフライトを実施、13:00過ぎより同飛行開始、途中2回のバッテリー交換を行いながら、55分間で川幅250mの経路を9往復し、約230kgの支援物資を予定通り運搬することに成功したという。

また、今回の最大重量である50kgの水を運搬する際、騒音計測を行った。高度15mの機体直下で110db(自動車のクラクション程度)、25m地点で80db(走行中の電車内程度)を計測している。

同社は、人口集中地区である東京都23区内で大型機を使用してのドローン物流実証実験は2022年12月に施行された改正航空法で可能になった有人地帯における目視外飛行の実用化に向け、想定しうる最大サイズの機体で運搬能力や騒音等の確認を行えたという点で成果があったと考えているという。今後も各自治体や行政機関と協力して、人とドローンが共生する社会に向けたルール作り等に貢献したいとしている。

また、衛星インターネット通信環境を備えた大型ドローン専用車両を配備するなど、災害発生時に迅速に活動できる体制を整えているため、今後は各地方自治体との災害協定の締結等、協力関係の構築を進めていくとしている。

実証概要

使用機体スペック

▶︎株式会社ロジクトロン

© 株式会社プロニュース