“風化させず防火安全対策を” グループホーム火災10年 長崎の福祉施設で避難訓練

火事を想定した避難訓練に取り組む入居者ら=長崎市虹が丘町

 5人が死亡、7人が重軽傷を負った長崎市の認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」の火災から10年になるのを前に、市消防局は7日、福祉施設で避難訓練や立ち入り検査を実施した。同局は「教訓を風化させず、各施設で防火安全対策に努めてもらいたい」としている。
 火災は2013年2月8日午後7時半ごろ発生。施設では消防法違反や建築基準法違反が複数確認された他、入居者が複数階にまたがり避難誘導が難しかったことなどが問題となった。
 同市虹が丘町の住宅型有料老人ホーム「ほの香」であった訓練には入居者や職員計30人が参加。1階の台所から出火したとの想定で職員が初期消火や通報、避難誘導の手順を確認し、マニュアルに沿って入居者を屋外に連れ出した。
 岩﨑久美子施設長によると、施設は4階建てで65~96歳の計31人が入居。約半数が車いすや歩行器を利用し、階段での避難誘導が課題という。「痛ましい火災を繰り返さないため、今回見つかった問題点への対応を考えていく」と話した。
 同市網場町のグループホーム「桜」でも避難経路や消防用設備などを確認する立ち入り検査を実施した。


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