【SNS特報班】宮崎県民が考える少子化対策は?

 岸田文雄首相が異次元の少子化対策を提起しましたが、県民の考える少子化対策を聞いてみたいです。【宮崎市・40代会社員男性】
 小学生の子ども2人を共働きで育てる宮崎市の男性は、大学進学に伴う教育費の負担が大きいと感じ「一番効果があるのは、国立大学無償化と出産一時金1千万円」と主張する。「財源を無視した妄想だが、強烈なインパクトがないと出生率は上がらない」とした。
 男性の疑問を受け、少子化対策についてSNS特報班で尋ねると、手厚い支援を求める投稿が相次いだ。
 宮崎市の看護師女性(43)は、今春2人の子どもの高校と中学入学が重なる。支度金として50万円が必要と見込み「家計のダメージが大きい」という。大学までの教育費の無償化を求め「学びの基礎である小中高大を完全無償化すれば、さまざまな分野で活躍する子が増えるのでは」と投げかけた。
 同市の女子高校生(17)は、国会で焦点となっている児童手当などの所得制限撤廃に関心を寄せる。「公平性を保つには、子どもの人数に応じた支援を拡充するべきだ」とし、「日本は努力して所得が増えても、(制限で支援が受けられず)不利益になると聞いた。将来子育てしたいかは分からないが、経済的負担は心配」と感じていた。
 寄せられた意見の中では、大学進学に関する不安が最も多かった。国の統計によると、1989年から現在までの約30年間で、年間の授業料は国立が19万6千円、私立は36万円上昇。入学料を合わせると1年目は国立が約82万円、私立は約118万円が必要となる。一方で個人の平均月収は90年代から減少傾向が続く。
 情報サイト「オールアバウト家計簿・家計管理」のガイドで、ファイナンシャルプランナーの二宮清子さん=宮崎市=は「ここ十数年、教育費だけインフレが続き、高校や大学進学時期から負担が急増する。異次元の対策をするなら、そこにメスを入れるべきだ」と指摘する。
 これまでの国の対策では少子化に歯止めがかかっておらず、子どもの貧困対策にも取り組む宮崎大大学院教育学研究科の竹内元准教授は「対症療法的な対策ではなく、安心して子育てできる仕組みが重要。予算の問題はあるが、すべての子どもが成人するまでベーシックインカム(生活に最低限必要な金額)のような補償が必要」と提言した。
【その他の意見】
 日向市・主婦女性(55)
「大学などの進学で、奨学金に頼らざる家庭も多い。だが、奨学金という借金を背負って就職しても、今はバブル時代のように稼ぐことは大変。結婚し子宝に恵まれても、借金を返済しながらだと2人目、3人目は難しいのが現実だ。進学やその後の人生の負担を減らすため、給付型の奨学金をぜひ増やしてほしい」
 都農町・主婦女性(69)
「自分の子どもたちは今まさに子育ての真っ最中だが、将来への不安を抱えている。それは給料が安く、今後上がるか分からないから。自分自身、子育ては金銭面など語り尽くせない苦労を経験したが、今振り返ると本当に育ててよかったと実感している。子どもたちもそう思えるように、そして孫世代も好きな進路を選べるように、せめて高校までは平等に、教育費の無償化に踏み切ってほしい」
 宮崎市・50代医療関係女性
 「まず宮崎は賃金そのものが低い。中高生の子どもがいるが、働いても働いても金銭的に大変だし、自分たちの老後はどうなるのかと常に不安がつきまとう。子どもの希望に応えたいけど、都会との賃金格差で難しい点があるのでは。他にも住む地域による医療や教育格差がある。まずはどこでも安心して子どもを産み、育てられる施策に取り組んでほしい」

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