記録的大雨、コロナのダブルパンチで日本酒仕込みに危機…福井県南越前町の蔵元がクラウドファンディング開始

日本酒の仕込み作業を行う北村啓泰さん=2月6日、福井県南越前町今庄の北善商店

 福井県南越前町今庄の蔵元、北善商店が、2022年8月の記録的大雨で被害を受け日本酒の仕込みが困難になったため、資金の一部を広く募る。クラウドファンディングサービス(CF)で3月22日まで募集している。

 昨年の大雨で近くの堂谷川が氾濫し、酒蔵に泥水が流れ込んだ。商品に被害はなかったものの、新型コロナウイルス禍で売り上げが激減していたのと相まって大きな痛手となった。

 酒造りは1月から本格化し3月末まで続く。費用は総額約300万円で、その一部80万円を福井県に特化したクラウドファンディングサービス「ミラカナ」で募ることにした。

 CFは1口3千~10万円。1万円以上にはリターンとして、自分でデザインできるラベルを貼ったしぼりたて生原酒「一番蔵出し」を、金額に応じた分量贈る。さらに1口10万円のリターンには酒の仕込み体験がつく。日本酒の奥深さを知ってもらおうと、10代目当主の北村啓泰さん(64)が指導する。

 北村さんはCFを通じ「日本酒と今庄宿の良さを広げ、コミュニティーづくりの一歩にしたい」と話している。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年に福邦銀行、23年にマクアケが事業に参画した。累計支援額は1億6千万円、プロジェクトの達成率は93%(2022年12月末時点)。

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