【第3四半期決算】岩塚製菓(新潟県長岡市)、代替需要や生産設備の増強が奏功し増収も利益面では原料高騰や大雪が影響

岩塚製菓株式会社

岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)は9日、2023年3月期第3四半期決算(連結)を発表した。

売上高は150億8,700万円(対前年同期比12.9%増)、営業利益は△2億2,900万円(前年同期は△2億300万円)、経常利益は44億2,000万円(対前年同期比385.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31億9,300万円(同593.3%増)となった。

米菓業界においては、三幸製菓株式会社(新潟市北区)の火災事故に伴う増産が夏場以降一服し、通常の営業体制を取り戻しつつあり、各社、これまで定番品増産のため控えていた新商品の投入を拡大、最需要期の秋冬に入り消費の活性化に繋げたいと力を入れている状況である。

一方で、原材料や燃料費などの製造コストは高止まったままであり、価格転嫁が追い付かない状況下、特に採算面において厳しい事業環境がつづいている。

岩塚製菓の開発部門では、新しい岩塚価値商品の開発を進め、他社との差別化を際立たせたいとしている。

製造部門では、原材料や燃料、電力費など外的要因によるコストアップが顕著に現れており、更なる騰勢が窺われるなど早期の改善は難しい状況にあるという。このため、主力品の集中生産、在庫の活用、物流体制の整備など生産効率向上に努めコスト削減のための自助努力を重ねているが、工場増設に係る固定費負担が残るなか、製造原価の高止まりを余儀なくされている。このため、生地生産、包装工程などの機械化による省人や、揚げ釜や空調を更新し電力使用量を削減するなど、合理化を進め生産性向上に努める。

営業部門では、夏場までは代替需要に対し商品供給を最優先するやや変則的な営業体制を強いられ、企画品などの年度計画を先送りせざるを得なかったものの、結果として主力商品(TOP6+2)においては相応の伸びが見られた。また、控えてきた新商品を秋冬の需要期に向け順次投入、75周年記念商品と位置づけた「米技心シリーズ」の発売、「賛否両論」の笠原店主監修商品の拡充のほか、イタリア料理店の落合シェフ監修のコラボ商品についてはお披露目会からの丁寧な販促活動を行うなど、ブランド価値を高める営業施策に取り組む。なお、価格改定については10月以降進めることができ、収益の改善に一定の寄与ができたという。

この結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、夏場の一服後も代替需要の影響が残り需要期にきて上向き傾向を示しているが、原材料や燃料費など製造コストが高止まりしており、前年同期間比増収となったものの営業損益は僅かに前年に届かなかった。

売上高は、期初の伸長、夏場の停滞、秋冬需要期の増加と総じて代替需要の影響を受けたほか生地生産設備の増強が奏功、増収となった。

損益面では、最需要期である第3四半期において僅かながら良化したものの、製造原価に係るコストアップの吸収は容易でなく、大雪により物流が停滞した影響もあった。

なお、経常利益に関しては、岩塚製菓が株式を保有するWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.からの株式配当金42億8,800万円を営業外収益の受取配当金に計上している。

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