PGAツアーへの道 欧州ツアーのアジアンスイングに恩恵は

蝉川泰果は今週シンガポールでの欧州ツアーに出場(Getty Images)

DPワールドツアー(欧州男子ツアー)は9日(木)開幕の「シンガポールクラシック」でアジアンスイングがスタートする。PGAツアーの公式コラムはChuah Choo Chiang氏がシリーズの可能性に言及。米国への扉を開くプレーヤーに期待した。

シンガポールからタイ、インドへと続くDPワールドツアーのアジアンスイングで、この地域のゴルファーたちは大きな恩恵を受ける。日本の蝉川泰果や川村昌弘、星野陸也…彼らのように、歴史と遺産を追いかける選手たちにとってはまたとない機会だ。

トンチャイ・ジェイディー(タイ)、梁津萬(中国)、アージュン・アトワル(インド)といった過去の名手たちはかつて、アジアで行われた欧州ツアーで歴史的な勝利を飾り、より大きなツアーへの出場権を手にした。

そして今年、DPワールドツアーのランキング上位10人には、男子プロゴルフの頂点に立つために必要な来季のPGAツアーのツアーカードが付与されることになり、その価値は高まるばかりだ。

「10枚のPGAツアーのカードが用意されて本当に良かった」というのは、タイのキラデク・アフィバーンラト。昨年、5シーズンを過ごしたPGAツアーの出場権を失った。「新しい世代のゴルファーがよりレベルの高いツアーでプレーできるチャンスが生まれた。僕だって、DPワールドツアーでまた良いゴルフをして、勝利を重ねてPGAツアーに戻りたい」。アジアで行われた欧州ツアーで2勝を挙げ、同ツアー通算4勝の33歳はそう意気込む。

タイのアフィバーンラトは再びアジア・欧州からPGAツアー復帰を狙う(Getty Images)

DPワールドツアーとPGAツアーの戦略的提携は2020年に強化された。欧州を主戦場する中国の呉阿順や李昊桐、インドのシュバンカー・シャルマ、マレーシアのガビン・グリーン、日本の川村、韓国のワン・ジョンフンらにはアメリカンドリームをつかむための道筋が明確になった。

また、DPワールドツアーとPGAツアー、さらには日本、韓国、インド、オーストラリアのツアーは互いに連携を強めており、それぞれの国からDPワールドツアーへの道をたどれるようになった。最高レベルのパフォーマンスを見せれば、必ずやPGAツアーに参加できるチャンスがある。

2021年の「マスターズ」を含め、日本の松山英樹が8勝を挙げたPGAツアーでの功績が母国の後輩選手にインスピレーションを与えているのは疑いようがない。2019年からフルタイムで欧州ツアーを戦っている川村、前週の「ラアス・アル=ハイマ選手権 by フェニックスキャピタル」で6位に入った星野、元世界アマチュアランキング1位の蝉川はみな、アジアでプレーする機会を生かそうと必死になる。

「ラアス・アル=ハイマ選手権」で6位に入った星野陸也

「本当に素晴らしいチャンスで、DPワールドツアーの大会を初めてプレーできることがうれしい」と話す蝉川は、昨年11月にアマチュアとして「日本オープン」を95年ぶりに制し、今週欧州ツアーデビューを果たす。ゴルフ界にある「わずか1週で選手人生が変わる」という言葉は、志高い若手の夢を後押しする。

インドの26歳、シャルマはDPワールドツアー2勝の29歳。昨年の年間ポイントレースは29位で終えた。「PGAツアーにたどり着くことは多くの選手にとっての夢。世界で一番大きなツアーなのだから。DPワールドツアーとの提携はゴルフ界を大きく変える」

中国勢では竇沢成とカール・ヤンが昨年コーンフェリーツアーを上位で終え、現在PGAツアーでプレー。李昊桐、呉阿順はDPワールドツアーのルートから彼らに加わりたい。李は18年に年間ポイントレースで9位に入った通算3勝の実力者だ。通算4勝の呉は37歳になった。「今年は僕を含め、たくさんの選手にとって、それがターゲットになる。チャンスだし、オフは一生懸命鍛えてきた」

シャルマは同じインド人選手の加入を望んでやまない。マヌ・ガンダスという選手がインドのPGTIツアーを経て、今年初めてDPワールドツアーの出場権をつかんだ。今月末にはインドでチャレンジツアー(欧州下部ツアー)も新たに2大会開催される。「DPワールドツアーとPGTIとの提携はトップ選手にとって大きなチャンス。予選会のスポットも用意されるはず。2、3年後にはきっとDPでプレーするインド人が増える」と期待した。

シンガポール、タイ、インドでの3試合の後、ツアーは4月に再び極東に戻ってくる。4月には日本と韓国でそれぞれ共催イベントを開催。PGAツアーでのプレーを夢見る選手たちがチャンスをつかもうと必死になる。

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