国「困難」佐賀県「順序おかしい」 新幹線空港ルート案巡り協議 議論かみ合わず

国側(左)と佐賀県側が1年ぶりに開いた「幅広い協議」=同県庁

 九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)整備を巡る国と佐賀県の「幅広い協議」が9日、佐賀県庁であった。佐賀空港を経由する南回りルート建設を「困難」などとする国側に対し、県側は「ルートを決めるより先に、新幹線を整備すれば佐賀県にどんなメリットがあるかを国が示すべき」と反発。1年ぶりの開催だったが議論はかみ合わなかった。
 1日の与党検討委員会で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が軟弱地盤の有明海沿岸を通るため「困難」「現実的な選択肢となり得ない」と検証結果を報告。7回目の今回協議で、国土交通省幹線鉄道課の川島雄一郎課長が同県地域交流部の山下宗人部長と対面し、これを伝えた。
 だが先に山下部長が協議の進め方に不快感を示した。「佐賀県はフル規格を求めておらず(国と)協議もしていない。(北回り、佐賀駅経由を含む)三つのルートにそれぞれメリットや可能性があれば示してほしかった。一つを駄目だと先に報告するのは順序がおかしい」と疑問視した。
 これに対し川島課長は「空港ルートは佐賀でも議論になっており、『幅広い協議』の枠外ではない」と理解を求めた。さらに「(新幹線を活用した)地域振興策は国が提供するよりも(県と)一緒に考えるべき」と指摘。在来線の利便性低下などを理由に同県が否定的な佐賀駅ルートについても「解決策は議論できるのではないか」と求めた。
 山下部長は「今は一緒に考える環境にない」と難色を示す一方、今後も多様な協議には応じる意向を示した。


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