スーパーGTの2023年スポーティングレギュレーションは大変更はなしも、安全のための措置を明文化

 スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは、2月6日付けで2023年のスポーティングレギュレーションをメディア向けに公開している。毎年さまざまな項目で変更が加えられているスポーティングレギュレーションだが、2023年に向けてはレースの仕組みに関わるような大きな変更はないものの、ドライバーに対してトラブル発生時に安全措置を講じることが明文化されているなど、いくつかの変更点がある。

 スポーティングレギュレーションはそれぞれレースシリーズごとに存在し、車両に適用されるテクニカルレギュレーションとともに運用される。スポーティングは、その名のとおりレースのスポーツ面での運用に関わるものだ。参加申請から予選、決勝の流れに至るまでが記載され、スーパーGTの場合これに加え、ドライバーとしてのあり方やプロモーションに関するもの、レースクイーンについての運用規定も設けられる。

 2021年から2022年にかけても大きな変更は加えられなかったが、2023年に向けては特筆すべき内容はいくつかある。

■2022年第3戦鈴鹿で共有された内容を明文化

 まず、第18条『ドライバーの遵守事項』のなかにひとつ項目が加えられた。内容は下記となる。

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すべてのプラクティスセッションおよび決勝レース中において、車両トラブル等によりやむを得ずスローとなった場合はハザードもしくはウィンカーの点滅により後続車へ知らせると共に走路を外し妨げとならないように安全措置を講ずることを義務付ける。

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 また、ファンに対してプロフェッショナルなバトルをみせ、魅力的なレースを構築すること、不必要なレース中断を防止すること、観客を含むレース関係者すべての安全性をより高く確保することなどを目的とした付則7の『GTAドライビング・モラルハザード防止制度』のなかにも、3.『ガイドライン』内に下記の項目が追加されている。

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3.3 危険な行為、行動の定義
(中略)
6) 車両トラブルによりスロー走行となった場合の安全措置を怠り他車を危険な状態に陥らせる行為
7) ピットインの意思を示した、もしくはトラブルによるスロー走行車両の後方につく行為

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 上記の項目については、大きなクラッシュが起きた第2戦富士の後、第3戦鈴鹿の際に行われたドライバーブリーフィング、監督ミーティングで共有された内容と同じ内容で、スポーティングレギュレーション内に明文化されたと言える。

■その他にも細部で変更が

 また、第38条『レース終了』、第40条『順位認定の必要条件』について、さらに第29条 プラクティスセッション(公式予選等)では『7. 走路外走行(4輪脱輪)によって達成された当該周回タイムは公式予選結果として採用しない』、『8. 公式予選中黄旗提示区間を走行した車両の当該周回タイムは公式予選結果として採用しない』という文章が明文化されている。

 さらに、付則-4の『FCY(フルコースイエロー)運用規定』では、FCY宣言後の黄旗振動、さらにその10秒後に全ポストでFCYボードが提示されることが明記された。これらはいずれも、2022年までのシーズンでなんらかのトピックスが挙がった事象に関連しての変更と推測される。

 なお、このスポーティングレギュレーション内にはプロモーション規定等の項目があるが、『2023年 SUPER GT 表示規定』の中には気になる項目も。ボンネットに右向き30°、ボディサイド左右に貼付されるゼッケンベースについては、2022年までは上部にオートバックス、下部にZFのロゴが入っており明記されていたが、現段階ではTBNとされている。なんらかのロゴが変わる可能性もありそうだ。

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