沖縄県の県政運営方針、玉城知事「独自の地域外交を展開」 県議会2月定例会始まる

 沖縄県議会2月定例会が14日午前10時に開会し、玉城デニー知事は2023年度の県政運営方針を発表した。県が新たに知事公室内に設置する「地域外交室」を巡り、アジア太平洋地域の緊張緩和や信頼醸成に向けて「平和構築に貢献する独自の地域外交を展開する」と強調。沖縄のソフトパワーを生かし、観光や物流、科学技術などさまざまな分野で外交を展開していく方針を打ち出した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設については、自身が反対を訴えて再選した昨年9月の知事選の結果に触れ「揺るぎない形で反対の民意が繰り返し示されたことは極めて重い」とし、国内外により強固に反対を訴える決意を述べた。 3年にわたり県政を挙げた対応が続いてきた新型コロナウイルス対策では、次年度新たに設置する「感染症研究センター」によって、感染対策と社会経済活動の両立を目指すとした。

 県政運営方針の発表は、玉城知事が2期目となって初めてとなる。玉城知事は過去最高の総額8613億9500万円に上る23年度予算編成の概要に加え、県政の姿勢や施策展開の方向性などを分野別に述べた。

 運営方針は、ロシアによるウクライナ侵攻や、東アジアの情勢を受けて、昨年と比べて「沖縄を取り巻く現状認識」に関する言及が大幅に増加した。安全保障関連3文書で、南西地域への自衛隊強化方針が示されたことを巡り「自衛隊の急激な基地機能強化により、沖縄が攻撃目標になるリスクをさらに高める事態を生じさせてはならない」と指摘し、軍事力増強が地域の緊張を高め、不測の事態が起こることに懸念を示した。

 辺野古新基地建設を巡って、国側が行政不服審査法に基づく手続きをとって、大臣などが県の処分を覆す「裁定的関与」を繰り返していることに触れ、「自治体が自らの判断と責任において行政を運営するという地方自治の保証の観点から問題だ」と指摘。全国知事会と連携して見直しを求めていく考えを示した。

 在沖米軍の整理・縮小では、21年5月に県が示した「当面は在日米軍専用施設面積の50%以下を目指す」とする目標を堅持し、日米両政府に実現を求める方針を述べた。

 新型コロナ対策は政府が感染症法上の位置付けの見直しをすることに関し、これまでの経験を踏まえた上で、病床支援やPCR検査体制の強化などの措置について「時期を逸することなく、迅速かつ適切に取り組む」と強調した。

© 株式会社琉球新報社