毎年多くのツルが来るように… 北帰行のツル 干拓地で羽休め 五島・久賀島

一斉に飛び立つツル=五島市久賀町の上空(写真上)、久賀島に飛来し羽を休めるツル=五島市久賀町

 長崎県五島市久賀島に14日夕、ナベヅルの群れが飛来し、羽を休めて15日朝、飛び立った。国内最大の越冬地、鹿児島県で冬を越して大陸へ向かう北帰行の途中とみられる。同島ではツルの越冬地にする試みが進められており、住民らから喜びの声が聞こえた。
 久賀町の江頭一男さん(78)によると、14日午後4時過ぎ、島の中央部の上空で100羽ほどの群れを確認。その後も同規模の群れが次々に飛来し、干拓地に降りた。300羽以上とみられる。
 15日は朝からナベヅルが田んぼでしきりに餌を食べる様子が見られ、辺りに鳴き声が響いた。午前7時半ごろ、最初の約10羽が飛び立ち、約30分後に150羽ほどが徐々に高度を上げて北へ向かった。9時前には残りも飛び立っていった。同島では以前にもナベヅルの群れが羽休めする姿が目撃されたこともあるが、江頭さんは「近所の人たちと一緒に感激した」と喜んだ。
 環境省の委託を受けた環境保護団体「日本生態系協会」(東京)は5年前から、同島で越冬地の候補地としての取り組みを住民らとしている。市立久賀小中の児童生徒は干拓地にツルの模型「デコイ」を設置。鳴き声をスピーカーで流し観察しながら飛来を待っていた。小学6年の古野月夢(らいむ)さん(12)は「たくさんのツルを見て達成感があった」、中学2年の越山福太郎さん(14)は「昨年は1、2羽だったので、驚いた。毎年多くのツルが来るようになってほしい」と話した。


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