注目の坪井&宮田コンビ結成のau TOM’S。「ふたりで協力し合えば良いパフォーマンスは出せる」

 2023年のスーパーGT GT500クラスのドライバーラインアップは、すでに3メーカーから発表され全15台が決定している。すべてのチームが優勝、チャンピオンを狙える可能性を秘めた組み合わせだが、なかでも注目度が高いのが、TGR TEAM au TOM’Sの36号車au TOM’S GR Supraだろう。2021年チャンピオンの坪井翔が、2022年に37号車をドライブしていた宮田莉朋と組むことになった。

 坪井は2021年、関口雄飛とともにGT500チャンピオンを獲得。2023年に向けては、昨年サッシャ・フェネストラズと組んで初優勝を飾った宮田が37号車から移り、若さと速さ、強さを兼ね備えたコンビが結成されることになった。

 2月8〜9日、岡山県の岡山国際サーキットで行われたメーカーテストは、12月のもてぎに続くこのコンビにとっての2回目のテストとなった。これまでのテストについて、まず坪井に聞くと「今のところかなり順調に準備は進んでいますし、速さも申し分ないので、開幕が楽しみな状態ではあります」という。

 一方の宮田は「悪くない印象はあります。ただまわりがこなしているメニューもバラバラですからね。悪くない反面、ホンダ勢が速いので、そこをしっかり見据えて走らなければいけません」という。この岡山でのテストではホンダ勢が好タイムを連発しており、4台が参加したGRスープラ勢からは同様の意見も多く聞かれている。

 ふたりは2018年の全日本F3でチームメイトとして戦った。この年は坪井が圧倒的な成績を残しチャンピオンを獲得する一方、F3で2年目だった宮田は2勝を挙げたものの、11回の2位という結果だった。とはいえ、その後宮田も大きな成長をみせ、いまや屈指のトップドライバーのひとりに。2020年にスーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンを獲得してからの活躍は説明するまでもないだろう。

2018年の全日本F3にTOM’Sから参戦していた坪井翔と宮田莉朋

 お互いについて聞くと、「宮田選手はF3の頃からチームメイトとして知っているドライバーですし、最近のご活躍は良く存じております(笑)。速さに関しては何も問題ないですが、彼がどういう好みをもって走るのかは、テストを重ねながらしっかりとコミュニケーションをとって準備ができればと思っています」というのは坪井。

 宮田は昨年、37号車で親友でもあったサッシャ・フェネストラズと組んでいたが、今季チームメイトが変わったことについて聞くと、「頼れるところがあるのが大きい」というのが面白いところ。

「昨年僕はブリヂストンが初めてでしたし、TOM’SでスーパーGTを戦うのも一年目でした。サッシャもタイヤ開発が初めてだった状況で、基となるデータがありませんでした。エアロも変わり、ふたりで知恵を振り絞りながらやっているような状況でした」

「今季は坪井君がチーム在籍3年目ですし、チャンピオンも獲っていますからね。頼れる人がいるので、それに合わせるだけかな……という印象です」

 迎える2023年、坪井&宮田コンビはこれまでふたりを育ててきたTOM’S、そしてGRスープラ勢のなかでも期待が寄せられているの一台なのは間違いないだろう。この期待について坪井は「どうなんでしょうね(笑)」と語りながらも「何より速いので、ふたりでしっかりと協力し合って良いクルマを作ることができれば、十分パフォーマンスは出せると思っています」と語った。

「ただ、他メーカーさんも速いので、そこにしっかり追いつけるよう、ふたりで組み上げていかなければならないと思っています」

 一方、宮田は「周囲の期待もあると思いますし、結果を残すことができればレース人生何があるか分かりませんからね。毎年のことですが、シリーズチャンピオンを目指したいです。2勝して表彰台を4回くらい乗れば必然的にタイトル争いはできると思います」と高い目標を示す。

「昨年は隣で36号車を見ていて常に速さを見てきましたし、自分自身も優勝することができました。シリーズ争いもできていたので、自分が成長することができれば結果は残ると思っています。落ち着いて、チームと坪井選手とともにチャンピオン目指して頑張っていきたいと思います」

 期待が高いコンビではあるが、本人たちはその期待を感じながらも、自然体であるとも感じられた。TOM’Sのエースナンバーを背負うau TOM’S GR Supraがどんな戦いをみせるのか。やはり今季注目の一台なのは間違いない。

2023年スーパーGT岡山メーカーテスト 36号車 au TOM’S GR Supra
2023年スーパーGT岡山メーカーテスト TGR TEAM au TOM’Sの36号車GRスープラ

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