<大石勝博ディレクター>
「晴れた日には特に欠かせない家事のひとつ洗濯。よく見る洗濯ハンガーですが、実はこれ、世界初の技術が詰まった静岡生まれなんです」
今回のしずおか産は、洗濯物を干すスチール製の角ハンガー。水玉模様で、枠やふちが曲がっているのが特徴です。静岡県藤枝市で1961年( 昭和36年)から作っています。
<村松工業 村松泰幸さん>
「当時だと世界で初めて」
<ニシダ 遠藤生也さん>
「世界初の技術で、6,000万台販売しております」
藤枝に世界初?しかも6,000万台?そうなんです、世界初の一つが、スチールの加工機械です。
<村松工業 村松泰幸さん>
「ここで切断をして、危なくないようにふちを曲げていく」
材料のスチールをローラーの間に通します。ローラーはいくつもつながっていて、一つ通るごとにスチールのふちの部分を曲げて丸くするんです。
<村松工業 村松泰幸さん>
「徐々に丸い形状にしていきます」
Q.どのぐらい曲がっていくんですか?
「2mmぐらい曲げております」
これが世界で初めての技術です。枠を形作るプレス機械も世界初。ひと押しで、すぐに折れ曲がるんです。しかも、角の部分、よく見てみると曲がっているのに、シワができてないのです。
<村松工業 村松泰幸さん>
「当時からずっと動いていて、世界で初めてといえば初めて」
プレスする力加減を部分ごとに細かく変えることで、きれいに折れ曲がります。この技術も世界初でした。
<ニシダ 遠藤生也さん>
「(技術がないと)しわがよったりするのが出てしまう。村松工業で加工するとすっきり、しわがなくできるようになる。唯一無二の存在。藤枝の町工場にお願いしてできること」
このハンガーを販売している会社は同じ藤枝市にあり、明治時代から続いています。
<ニシダ 遠藤生也さん>
「昔のものなんですね。これは1979年、44年前ですね」
角ハンガーが発売されたのは、いまから72年前。今の青い水玉ではなく、赤い水玉の時期もありました。
<ニシダ 遠藤生也さん>
「水玉が採用されたいきさつは資料がないが、はやりだったのではないかと思う。シャボン玉や洗濯のイメージがあって、お客様の声から青玉にした説もある」
発売した時は、団地の建設が盛んに行われていて、「効率よく干せる」と人気が出ました。販売する店も静岡から全国へ広がりました。東京に住むこの女性は40年以上にわたって愛用しています。
<東京で愛用する女性>
「タオルでも肌着でもジーンズでもなんでも、きれいに洗濯が仕上がったところで、右左右左とかけていくと、きれいに整然と並んで、これがまた気持ちよい」
昭和から6,000万台売ってきた角ハンガーですが、強度をあげるため、鎖からワイヤーへ変えるなど改良を続けています。
<ニシダ 遠藤生也さん>
「厳密にいえば、小さい会社があるかもしれないが、日本で作っているこういったものは、ほぼ独占しているような形ではある。どうしても藤枝で作り続けたい思いは強くある」
#LIVEしずおか 2月16日放送