「つなぐサッカー」でJ1昇格誓う V長崎 ファビオ・カリーレ監督

キャンプで早くから戦術浸透を図ったカリーレ監督。スタートダッシュを誓う

 昨年6月に就任したファビオ・カリーレ監督(49)は母国ブラジルの1部リーグでクラブを優勝に導いた経歴を持つ。V長崎での1年目は苦戦を強いられたが、時間をかけてチームづくりをした今季は十分な手応えを得ている。掲げるのは王道の「つなぐサッカー」だ。以下、一問一答。

 -いよいよ開幕する。監督就任後に順位を落とした昨季の反省を踏まえて、どういう戦い方をするのか。
 個人の特性や他チームの状況、日本のサッカーは把握できた。この学びを無駄にはしない。強化部と細かい打ち合わせを続けて、自分たちの弱さを分析した。昨季は空中戦で負けることが多かったが、新加入のFWフアンマやセンターバック陣は逆に空中戦を武器にしている。
 ビルドアップに関しては、トレーニングマッチや練習で繰り返す中で手応えを感じる。ボールを地面につけて、三角形を形成しながらサッカーする方針に変わりはない。微調整して、大会を通じて完成に近づける。大事なのは自信を持って戦うことだ。

 -開幕前キャンプで心がけたのは。
 昨季は試合終盤に苦労の連続だった。90分持続できるフィジカルの強度、ビルドアップ、戦術の浸透を進めた。いろんなシステムを試す中で選手を観察して、どのシステムが一番生きるのかを見極めた。多くのデータを取得した。1年を戦う上で大切な準備期間を充実して過ごせた。どう戦うのかは、すでに固まっている。

 -昨季当初よりも4人多い32人でスタート。若手も多く加入した。
 人数が多いからいいわけではない。バランスが取れた集団があって、その中で平等に競争があるというのが一番望ましい。レギュラーだからと油断していれば、控えの選手が良いプレーをすれば先発をすぐに変更する。ポジションを奪われる危機感というのを大事にしたい。競争心があれば、自然と練習の質や試合のレベルも上がる。
 植中(現横浜M)や江川(現G大阪)の移籍は残念だが、若手には試合に出場するくらい成長してもらい、ポジション争いを活性化させてほしい。世代間の融合を図っていきたい。

 -複数のシステムができる陣容になった。
 長崎には高さやスピードがある選手がそろっている。選手の状態を考慮して最善の形にする。ただ、相手によってシステムは変えるようなことはしない。相手を見て先発とタイプの違う選手を入れ替えるような采配は考えている。

 -混戦のJ2を勝ち抜くカギは。
 リーグ戦はスタートダッシュが大事。優勝に向けて最初から全力で走る。前半戦の21試合を32得点18失点で折り返すことを一つの指標にしている。過去に昇格したチームを見て打ち出した数字。道筋は見えている。守備は前線から。攻撃はDFラインで組み立てて良質なパスをFWに送らないといけない。試合で全力を出せるような準備も大事になる。
 42試合すべてを決勝のつもりで戦う。目標を達成して最後は笑顔になっていたい。

 -ホーム開幕戦は多くのサポーターが駆けつける。改めて今季の意気込みとサポーターへのメッセージを。
 どんなプロの世界でも満員のスタジアムでプレーすることは夢。サポーターは髙田明さんや髙田旭人社長の夢を信じてついてきてほしい。V長崎に関わる全員が団結して夢をかなえてほしい。サポーターが12番目の選手になれば、すごく力になる。スタジアムに足を運んでいただきたい。


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