静岡県警の警部補の自殺「業務との因果関係ある」妻子の訴え認め、逆転敗訴の両親と判断割れる 広島高裁

静岡県警の男性警部補の自殺は過重労働が原因だったとして、男性の妻子が静岡県に対して損害賠償を求めた裁判で、広島高等裁判所は、自殺との因果関係を認めた1審判決を支持し、静岡県側の控訴を棄却する判決を言い渡しました。

この裁判は、2012年に静岡県警の男性警部補(当時30代)が自殺したのは過重な業務が原因だったとして、男性の妻と子が静岡県に対しおよそ1億800万円の損害賠償を求めていたものです。

去年7月、1審の広島地裁 福山支部は、静岡県警の安全配慮義務違反を認め、静岡県に対し妻と子へおよそ1億135万円を支払うよう命じる判決を言い渡し、静岡県側が控訴していました。

広島高等裁判所の 小池明善裁判長は、きょう(17日)の判決で、「男性のうつ病などの発症前の1か月間には時間外勤務時間は117時間を超え、妻とのメールのやりとりなどからそれ以外の時間にも業務を行っていた時間があると推認される。交番長としてほかの交番勤務員と比べて業務負担が多かったことに加え、管内で発生した連続窃盗事件に関して夜間や非番時の捜査、単独で職務執行ができない実習生の指導などにあたっていて、大きな心理的負荷を与える要因になったものと評価できる」などとして、男性の自殺と業務との間には、相当な因果関係があったと指摘。

「男性の業務が過重であることに配慮していなかったことは明らかだ」として、静岡県側に安全配慮義務違反があったと判断しました。

この自殺をめぐっては、男性の両親も静岡県に対する訴えを起こし、去年7月、1審・広島地裁福山支部が、220万円の損害賠償を認める判決を言い渡しましたが、2審広島高裁では、おととい(15日)、別の裁判長が、「静岡県警に注意義務の違反があったとは認められない」として、1審を取り消し、両親の訴えを棄却する判決を言い渡しています。

2つの裁判で、判断が割れた形となります。

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