女子高校生が“命をつなぐ部活動”「一匹でも多くの猫ちゃんが幸せになれたら」保護猫を…

「ミャ~。わたしにはまだ名前がありません。実はわたしは保護猫で、きょうは新しいご主人を待っています。なんと!この場を設けてくれたのは、彼女たち高校生なのです」

今回のテーマは、「女子高生が奮闘!『命をつなぐ』部活動に密着!」

中根夕希 キャスター
「ペットはもはや家族という方も多いと思いますが、そんな幸せな犬や猫だけではないんですよね。広島県内で引き取られる犬・猫の数、また、殺処分される数は、ここ10年でずいぶん減ってきてはいます」

「各都道府県のデータが出そろう最新(2020年度)の状況としては広島県の引き取り数は全国で2番目に多いということです」

「中でも広島県の課題は、引き取った動物たちの行き先です。例えば2年前の2502頭のうち、殺処分されるのは7%ほど(166頭)でした。7割は、愛護団体への譲渡に頼っているのが現状です。そもそもの引き取り数を減らすことはもちろん、そこから新しい飼い主『個人への譲渡』をいかに増やしていくことができるのか―。広島県内には、高校の部活動として『譲渡会』に取り組む生徒たちがいます」

この日(2月12日)、譲渡会の会場に運ばれてきたのは、27匹の猫。ボランティア団体「ワンミャツダクラブ」などが一時的に預かっている猫たちです。

譲渡会を仕切るのは、進徳女子高校(広島市)で創部5年目となる動物愛護ボランティア部「Walking with Dogs Project」=「WDP部」の面々。彼女たちは、こういった譲渡会をこれまで学校の内外で開催し、今回で5回目となります。

進徳女子高校 WDP部は、日頃の活動として週に1度、広島市動物愛護センターへ出向き、掃除や犬を散歩を行っています。保護された犬や猫は、警戒心が強いため、個人に譲渡するためには人間に慣れさせることが必要だそうです。

生徒たちは、犬との接し方を学ぶため、ドックトレーナーを招いて勉強会をすることも…

動物好きのこちらの1年生部員は…

新徳女子高校 WDP部 1年 東家史子 さん
「犬と猫が禁止のマンションなのでハリネズミを飼っています。高校に入学するとき、ホームページでWDP部があるのを知って、入りたいと思っていました」

1人でも多くの人に譲渡会に来てもらおうと、広報活動にも熱が入ります。チラシのデザインは、卒業生がボランティアで作ってくれたものでした。

生徒たち
「猫の譲渡会です。よろしくお願いいたします」

冷たい風が吹く中で2時間…。400枚のチラシを手渡しました。

いよいよ『譲渡会』… すてきな家族と出会えますように!

進徳女子高校 WDP部 3年 奥野聖未 副部長
「きょうの日のために一生懸命、放課後などの時間を使って準備をしてきました。1匹でも多くの猫ちゃんが幸せになれたらいいなと思っています」

いよいよ譲渡会の本番です。始まってまもなく、会場には里親希望者たちが現れました。猫を一時保護している人たちの紹介にも熱が入ります。進徳女子高校 WDP部の生徒たちは、会場受け付けや支援物資の受け取りなど、それぞれの持ち場に分かれて対応します。

会場入り口に置かれたモニターに流れるのは、生徒たちが作ったPR動画です。スマホで制作し、1か月かかりました。

進徳女子高校 WDP部 1年 奥野詩永 さん
「悲しい部活に見られがちなので、どうしてもかわいく作りたくて。良さを前面に出そうとしたらこうなりました」

支援物資も募集しました。一時預かりの家庭で使ってもらうためです。

訪れた人
「初めて知りました、高校生がするのを。たくさん譲渡会はあるけど、どうやって実施しているのかなと。ちょっと来てみました。部活でやるのはいいことだと思います」

この日、譲渡会の会場となったのは、フタバ図書の店舗内にある会議室。書店としては初の取り組みですが、若い世代が社会問題に取り組む姿に感銘を受けて、ぜひコラボしたいと思ったそうです。

フタバ図書 小田剛 課長
「地域のコミュニティーとコミュニティーをつなぐハブ機能というか、そういった役割が会社としてできたらいいなっていう思いがあって」

譲渡会会場とはいえ、売り場からは少し離れた会場に誰もが足を運ぶわけではありません。開催時間も残りわずかとなり、もうひと踏ん張り動員したいと思った1人の生徒が、売り場とかけ合って…

進徳女子高校 WDP部 3年 大田諒 さん(館内放送)
「みなさん、こんにちは。わたしたちは進徳女子高校 WDP部です。わたしたちは今回、フタバ図書さんにブースをお借りして、猫の譲渡会を開催しています」

大田さんのマイクパフォーマンスもあって、来場者は212人にまで伸び、7組のマッチングが成立しました。今後、2週間のトライアル期間を経て、本当に里親となるかが決まるそうです。

保護主
「先住の猫の方がやはり偉いので、それに逆らわなければ…」

獣医師を目指して、この部活のある学校を選んだという2年生は…

進徳女子高校 WDP部 2年 関上凜香 さん
「保護犬や保護猫は、減ったといわれる広島でもすごく多いと思います。それを減らすためにも1歩ずつ、少しずつ、こういう活動をしてがんばっていきたいなと思います」

今回が最後の譲渡会となった3年生は…

進徳女子高校 WDP部 3年 奥野聖未 副部長
「(授業の)食育では、人間が生きるために何を食べたらいいのかというのを学ぶんですけど。この部活動では、人間だけではなく、動物の命の大切さも学べたかなって思います」

進徳女子高校 WDP部 顧問 山下育美 先生
「1匹でも2匹でも幸せな家庭に犬や猫たちをつなげていくことが、クラブとしての目標かなと思います。わたしとしては、生徒たちが社会貢献とか社会問題に向き合っていく姿勢も同時に育てたいなと思っています」

「命をつなぐ」譲渡会―。高校生たちの活動はこれからも続きます。

中根夕希 キャスター
「そもそも、保護されてしまう犬や猫の数を減らすこと、責任をもって最後まで飼うということが大切なのは言うまでもないのですが、なんらかの事情で行き先がなくなってしまった犬や猫はこんなふうに多くのボランティアの力添えで新しい里親とめぐり合う場が設けられているんですね」

「広島県の取り組みとして、今度は保護犬の譲渡会(2月19日(日)広島市 西区『LECT』屋外スペース)が行われます」

「また、8月には『広島県動物愛護センター』が広島空港近くに移転し、譲渡会実施などの保護活動がさらに活発化することが期待されています」

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