WEC開幕が迫るなかドライバーラインアップ未発表のグリッケンハウス「変化のための変更は望まない」

 グリッケンハウス・レーシングは、WEC世界耐久選手権の“最高峰”ハイパーカークラスに参戦するドライバーラインアップを既存のメンバーで固めようとしており、チームオーナーのジム・グリッケンハウスは「変化のための変更は望んでいない」と語った。

 アメリカのチームは、3月17日にフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催される、2023年シーズン開幕戦セブリング1000マイルまで1カ月を切った時点で、フルシーズンエントリーを行っているハイパーカークラスのドライバー3人をまだ発表していない。

■デラーニとウエストブルックは事実上離脱

 現在のところ、708号車グリッケンハウス007 LMHに乗ることが決まっているのはロマン・デュマのみで、同チームはシーズン開幕を前にしてラインアップが固まっていない数少ないチームのひとつとなっている。

 ジム・グリッケンハウスは、チームのドライバー計画についてコメントする一方で、自身の名を冠したチームがル・マン24時間レースへの2台目の参戦を申請していることを明らかにした。

「ご存知のように、我々はシーズン中に1台のクルマを持っている。それからル・マンでは2台目のマシンを手に入れると信じてエントリーする予定だ」とグリッケンハウス。

「だから、ル・マンには2台のマシンを用意することになる」

「ドライバーはおそらく、過去に一緒に仕事をしたことのある人たちになるだろう。我々は、変化のためだけに変わるのではない」

 グリッケンハウス・レーシングはLMDhの新メーカーの登場により、以前このチームでレースをしていたドライバーの数名を失った。その影響で潜在的なタレントのプールが枯渇している。

 昨年のル・マンでは、デュマ、オリビエ・プラ、ピポ・デラーニ、フランク・マイルー、リチャード・ウエストブルック、ライアン・ブリスコーという顔ぶれがあったグリッケンハウス・レーシング。

 この6名のうち、デラーニとウエストブルックは現在、ライバルメーカーであるキャデラックLMDhプログラムに参加しており、グリッケンハウスのラインアップからは事実上除外された。

 グリッケンハウスはこれ以上具体的なことには言及しなかったが、チームのラインアップを完成させるために、後ろ盾のあるドライバーを迎え入れることを示唆した。

「ドライバーを含むスポンサーの可能性もある」と彼は付け加えた。「はぐらかしているわけではない。まだ話すには早いだけだ。世界には素晴らしいドライバーがたくさんいる。それほど心配はしていない」

■顧客所有のル・マン用セカンドカーが登場

 グリッケンハウスはまた、ル・マンに追加参戦する2台目のマシンについて、ファクトリー傘下のカスタマーバックアップカーであることを明らかにした。

 これは昨年、コネチカット州のディーラーであるHKモーターカーズが所有する709号車をル・マンに参戦させたときと同じような仕組みだ。

「このクルマを所有しているのはジェイソン・マッカーシーで、昨年も彼が所有していた」と、グリッケンハウスは語った。

「彼はグリッケンハウス・レーシングの旗の下、我々と同じピットで同じカラーリングの同車両でレースすることになる」

「これはカスタマーカーの追加ではない。しかし、彼らが我々と一緒にレースすることを望むかどうかは分からない」

「クルマはまったく同じもので、違うという認識はなかった。ジェイソンが自身でこのクルマをドライブしているので、私たちはとてもハッピーだ」

「私の考えでは、ルイージ・チネッティとNART(ノースアメリカン・レーシングチーム)の時代に戻ったようなものだと思う。私たちは小さなプライベーターで、チネッティ氏がレースで顧客を得たように私たちもレースで顧客を得ているんだ」

 なお、グリッケンハウスは2台目のクルマが、ル・マン以前のWECラウンドに登場する可能性は低いと示唆している。

総合3位表彰台を獲得したグリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMH 2022年WEC第3戦ル・マン24時間

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