<動物殺処分>全国最悪レベル、3本柱でゼロ目指す 2023年度 長崎県予算案点検

長崎ねこの会は年20回ほど譲渡会を開いている=2022年5月22日、長崎市現川町

 犬猫の殺処分数が毎年全国で最悪レベルの長崎県。2021年度は長崎市動物愛護管理センターなどの行政施設に2011頭が持ち込まれるなどし、1363頭が命を絶たれた。民間ボランティアが保護や不妊化手術に手を尽くすも、到底追いつかない。
 「引き取れたのは5%ぐらい」。長崎、佐世保両市で活動する「長崎ねこの会」の大庭千佳子理事はため息を漏らす。同センターに毎週通い、現状をブログで発信している。同会のシェルターなどに空きがあれば譲渡前提で預かるが、長崎のメンバー宅だけでも計約20頭を抱え、他のボランティアも手いっぱいという。
 同会は譲渡会を年20回ほど開き、寄付などを原資に手術の助成もしているが、大庭理事は「行政とボランティアだけでは(殺処分削減は)難しい。いかに一般市民を巻き込み、不妊化を進めるかが鍵」と強調する。
 県生活衛生課によると、行政施設に収容する約6割は野良の子猫。長崎県は気候が温暖で、車が入れない坂道が多く、生存する条件がいい。県は15年度から手術費用を予算化しているが、22年度の枠434頭は半年もたたずに埋まった。
 大石賢吾知事は知事選で「動物殺処分ゼロ」を掲げた。これを受け県は23年度予算案に3800万円を計上。29年度のゼロ達成を目指すロードマップに沿って▽入口対策▽出口対策▽市町や県民との連携強化-の3本柱で取り組む。
 「入口」では収容数を減らす。動物病院だけでなく県動物管理所(アニマルポート長崎、大村市)でも手術をするようにし、枠を700頭に拡充。地域猫活動に乗り出す地域に、経験豊富なボランティアをアドバイザーとして派遣する。一方「出口」では、譲渡情報を公開するサイト「ながさき犬猫ネット」を刷新。老朽化したアニマルポートを再整備し27年度供用開始を目指す。


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