分身ロボで接客 「オリヒメポーター」長崎市役所で初導入 通勤困難者の社会参加へ

手ぶりを交えながら訪れた人と会話するオリヒメポーター=長崎市役所

 長崎市は、オフィスの受け付けや販売会の接客などを遠隔操作できる分身ロボット「OriHime Porter(オリヒメポーター)」を導入した。障害や病気の影響で通勤が困難な人が、テレワークでロボットを操作している。
 オリヒメポーターは、オリィ研究所(東京都)が開発した。操作者は自宅などに居ながら、タブレットでロボットのカメラの映像を見て、市役所を訪れた市民らと会話する。オリヒメポーターは手や首が動き、移動もできる。2月1日から試行し、13日から本格運用している。自治体での導入は初めて。
 市は、障害のある人の社会参加を目指し、市心身障害者団体連合会に業務を委託。5人が勤務している。オリヒメポーターは午前10時から午後2時まで、市役所2階の障害福祉課窓口などで働いている。フロアの案内をし、障害のある人が手がけた商品を販売する福祉の店「チャレンジド・ショップはあと屋」の市役所内での販売会では、「きょうは焼き菓子がありますよ」などと呼びかけている。障害福祉課は「話すだけで障害のある人への理解が深まり、活動の周知もできる」と期待を寄せている。
 操作を担当する「OriHimeパイロット」の一人「MIYUKI-SAN」(64)は、平野町の自宅から1日1~2時間、市民らにトイレや窓口を案内したり、移動販売に訪れた客に声をかけたりしている。職員や市民とのやりとりにやりがいを感じており、「1時間でも業務があると生活リズムが整ってありがたい。ロボットを通して認められているように感じてうれしい」と語った。

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