強盗事件は地方でも…出くわしたらどうする? 防犯アナリストに聞く「命や財産の守り方」

狙われるリスクを減らす対策

 全国各地で相次いだ広域強盗事件。中には被害者の命が奪われたケースもある。福井県内では2021年、住民がいる民家に男が侵入し、現金などが盗まれる事件が発生するなど、在宅中に押し入られる犯罪は都会に限った話ではない。自分や家族の命、財産をどう守ったらよいのか。全国で防犯セミナーなどを行う一般社団法人「日本防犯学校」(神奈川県)副学長で防犯アナリストの桜井礼子さん(60)は「防犯意識の高い暮らし方をすることが重要だ」と対策の必要性を訴えている。

■地方ほど無施錠

 強盗事件が多発する理由について桜井さんは「ガラスを破ったりドアをこじ開けたりする技術が不要で、手っ取り早く金品が手に入るからではないか」と推測する。人がいると分かって押し入るため「危害を加えることをいとわない、開き直りに近い心理だ」と危険性を指摘する。

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 一戸建てが多い福井で不審者に押し入られるリスクを減らすため、桜井さんはインターホンが鳴ってすぐにドアを開ける行為を「絶対に避けて」と強調。「訪問者とのやりとりを対面でする時代ではない」といい、例えば宅配便は▽玄関先や宅配ボックスに置いてもらう▽コンビニや宅配ロッカーで受け取る▽ドアガードやチェーンをかけたままやりとりする-ことを心がけてほしいとする。

 防犯対策の基本は玄関や窓の鍵かけだが、地方ほど無施錠の家が増える傾向にあると桜井さん。「近所の人が野菜を置いてくれるから」などが理由だが「むしろご近所さんと顔を合わせたら、『鍵をかけてきたか』と確認し合う習慣をつけてほしい」と助言する。

 さらに▽通りから目に付く部屋は夜間も明かりをつけておく▽インターホンを門柱に移設し、敷地内に人を立ち入らせない▽センサーライトやカメラの設置▽防犯ガラス、フィルムの導入-なども有効という。

■侵入者には従う

 万が一、在宅中に侵入者と出くわしたらどうしたらよいのか。桜井さんは「逆らわず相手に従って。襲われる危険性が高く、命を守ることを最優先に考えて」と強調する。金品のありかや金額などを把握した上で犯行に及んでいる可能性があるため、うそをつかず、ためらわずに渡すべきという。1人暮らしの高齢者などは、ペンダント型の緊急通報装置を常にぶら下げておくと安心感が高まるという。

 合わせて桜井さんは「私たちの個人情報はある程度漏れていると考えた方がいい」と指摘。実在の放送局や番組名をかたり、アンケート名目で▽家族構成▽年代▽現金が家にいくらあるか▽預金先-などを聞き出そうとした事例もある。情報屋と呼ばれる業者から個人情報のリストを入手し、利用している犯罪者もいるという。

 犯行を未然に防ぐ上で重要なのが、住民の目撃情報。桜井さんは「犯人は必ず下見をする」といい、他地域ナンバーの車やレンタカー、見知らぬ人が同じ場所を回っているなど違和感のある行動を認識したら、すぐに110番か警察相談専用電話「#9110」へ連絡してほしいと呼びかける。「自分の目を信じて、ちゅうちょせず連絡することが犯罪の阻止につながる」と話していた。

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