王者チームMRFタイヤが体制発表。防衛に挑むヤレーナにセスク新加入、サテライト含む3台体制に

 昨季2022年にドライバー&チーム部門でERCヨーロッパ・ラリー選手権初タイトルを獲得したチームMRFタイヤが、2月21日付で2023年の参戦体制を発表。チャンピオンのエフレン・ヤレーナが残留し、ともに欧州域内最高峰のタイトル防衛に挑むとともに、新たな僚友としてラトビア出身の23歳マルティン・セスクの起用を決定し、さらに別働隊としてMRFタイヤ・ディーラー・チームからエントリーのアンドレア・マベリーニもサポートするとアナウンスした。

 2022年にERC初優勝とチャンピオンシップタイトルを獲得したスペイン出身のヤレーナは、引き続きコドライバーのサラ・フェルナンデスとともに、今季は新型シュコダ・ファビアRSラリー2で参戦。この体制がシリーズでのさらなる成功を目指すふたりにとって、大きな後押しになることが期待されている。

「僕らの目標はふたたびERCでチャンピオンシップを獲得することだ」と、シリーズ公式サイトで決意を語った27歳のヤレーナ。

「それが難しいことはわかっているし、本当に強いドライバーがたくさんいるだろうけど、どうなるか見てみよう。またパーティーが始まるね!」

 今季もオープニングイベントとなる『ラリー・セラ・デ・ファフェ・フェルゲイラス』では、昨季ラジエーターの損傷で勝機を逸していただけに「素晴らしい思い出はない」と言いつつ、タイトル防衛に向け「ベストを尽くすつもりだ」と続ける。

「昨年のあのラリーは僕たちにとって災難だったが、2日目には勝つペースがあったので、今季こそは……だね」

 今年は3月10~12日に開催される開幕戦では、チーム2番目のラインアップにセスクの加入も決定。2022年はいくつかのイベントで、このインド製タイヤを装着するシュコダ・ファビア・ラリー2エボをドライブした23歳は、ホームグラウンドとなるラトビアの『ラリー・リエパヤ』で、全ステージ完全制覇という偉業も達成している。

「数週間前には、AからC、そしてDへの計画もあったんだ(笑)」と内情を明かしたセスク。

「でもこうして今すべてがまとまり、最高のチーム、最高のタイヤ、最高のクルマでERCシーズン全体をドライブするという“プランA”を現実にすることができたんだ!」と言うセスクは、今季スポーツ・レーシング・テクノロジーズがプリペアした新型シュコダ・ファビアRSラリー2をドライブする。

チャンピオンのエフレン・ヤレーナが残留し、ともに欧州域内最高峰のタイトル防衛に挑む
昨季のホームグラウンド、ラトビアの『Tet Rally Liepāja』で、全ステージ完全制覇という偉業も達成したマルティン・セスクがフルタイムのシートを得た
別働隊としてMRF Tyres Dealer Teamからエントリーのアンドレア・マベリーニは、旧型で開幕を迎える

■MRFタイヤ・ディーラー・チームの新車投入はシーズン途中からの見通し

「この機会が得られて本当に光栄だし、とても楽観的だ。今季は僕らが本当に自分自身を示し、何ができるかを示すターニングポイントになると感じている。シーズンが始まる前はつねに憶測であり、スコアはまだ机上の空論だ。言えることは、これまでのドライビングキャリアの中で最高のパッケージを手に入れたと思う、ということだけ」と冷静に続ける若手有望株。

「すべてが本当に有望に見えるが、現時点であまり推測したくはないんだ。もちろんベストを尽くすが、自分自身に不必要なプレッシャーを掛けたくないからね。ステージで自分たちの力を証明していくことに集中するよ」

 そして巨大インド企業のサポートを受け、今季よりERCの最高峰カテゴリーにステップアップするイタリア出身のマベリーニは、昨年のERC4カテゴリーでチャンピオンシップ2位を獲得した前輪駆動のルノー・クリオ・ラリー4から、シュコダ・ファビア・ラリー2エボにスイッチする。

「これは僕らにとって本当にエキサイティングなニュースだ」と23歳のマベリーニは喜びを語った。

「これを可能にしてくれたMRFタイヤと、すべてのパートナーに心から感謝したい。今季の僕らはレースセブンがメンテナンスするファビア・ラリー2エボで、シーズンの半数を戦えると思う。その後、可能性があればファビアRSラリー2に移行したいと思っているけれど、すべてはシュコダが我々に新車を供給できるかどうかにかかっている」

 一方、そのマベリーニの地元でもあるイタリアの自動車連盟(ACI)は、人材育成イニシアチブの『ACIチーム・イタリア』を通じて25歳のアルベルト・バティストーリらを支援すると発表。2022年にラリー2車両をドライブし、総合7位を記録した新進気鋭のイタリア人は、新型ファビアRSラリー2で全8戦にエントリーするプログラムを計画している。

「昨年の自信と経験が違いを生み出すかどうか、そして年末までに表彰台に立つことができるかどうかを確認したい」と、2023年の目標について語ったバティストーリ。

「それが遠回りであることはわかっているが、実際に違いを生む可能性もある。すべて同じチーム、同じコドライバーになるのは良いことだけど、新しいシュコダがすぐに納車されることを期待している。良い年になるだろうね」

 そして2022年最終戦として、WRC世界ラリー選手権との併催イベント『ラリーRACC・カタルーニャ・コスタ・ドラダ』で勝利を収め、ランキング3位を獲得したフランス出身のヨアン・ボナートは、引き続きミシュランタイヤを装着したシトロエンC3ラリー2で少なくとも4戦へのエントリーを予定する。

 また、スウェーデン出身のトム・クリステンソンも、マッズ・オストベルグらを輩出したタガイ・レーシング・テクノロジーズと新たに契約を結び、同じくシトロエンC3ラリー2をドライブすることになった。

イタリアの自動車連盟Automobile Club d’Italiaは、人材育成イニシアチブの『ACI Team Italia』を通じて25歳のアルベルト・バティストーリらを支援すると発表
昨季ランキング3位を獲得したフランス出身のヨアン・ボナートは、引き続きミシュランタイヤを装着したシトロエンC3 Rally2で少なくとも4戦へのエントリーを予定する
スウェーデン出身のトム・クリステンソンも、Tagai Racing Technologyと新たに契約を結び、同じくシトロエンC3 Rally2をドライブする

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