片づけメソッド

 〈『ときめくものを選ぶ』というシンプルな基準で、何を残し何を処分するか考える中で、これまでの自分の選択を直視し、これからどう生きていきたいかという価値観を見つけ出すのです〉▲片づけは「過去に片をつける行為」、過去を手放し、未来へと向かっていく行為で、そこには覚悟が必要…こう説いているのを今年の初めにどこかで読んだ。片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん▲近藤さんの片づけ哲学「こんまりメソッド」には、さまざまな混乱に秩序を取り戻すための共通の知恵のようなものが潜んでいる。日銀の新しい総裁候補として昨日、衆院議運委の所信聴取に臨んだ植田和男氏の発言をおさらいしながら、そのことを思い起こした▲超低水準の金利が長期間続いている“異次元の金融緩和”について、植田氏は「適切だ」との認識を示した。一方で物価の動向にも触れ、物価目標の実現が見通せるようになれば「金融政策の正常化に踏み出せる」と述べた▲金融緩和路線は当面続きそうで、市場もそれを好感している。ただ「いつかは正常化が必要だが適切」とか逆に「適切だが異常」という状況は、言葉だけ見れば相当散らかっている。素人目にも不安が尽きない▲混乱した金融政策にどう片をつけていくか。かじ取り役の覚悟はどうか。(智)

© 株式会社長崎新聞社