1~2月の景気「持ち直し」維持 4カ月連続、観光回復 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は22日、1~2月の県内金融経済概況を発表した。景気は「全体的に持ち直している」として、4カ月連続で判断を維持した。新型コロナウイルス感染状況の落ち着きや、観光の回復、賃金改善の動きなどのプラス要因について「今後の持続性や広がりをしっかり確認していきたい」としている。
 観光は「このところ回復ペースが速まっている」と4カ月ぶりに判断を引き上げた。全国旅行支援が休止された年末年始にいったん鈍ったが、以降は回復が途切れなく続いている。インバウンド(訪日客)の持ち直しに、長崎ランタンフェスティバルの効果も加わった。今後も、修学旅行の予約高水準や新型コロナの5類移行、国際クルーズ船受け入れ再開などに明るい展望を持つ業者が多い。
 雇用・所得は14カ月ぶりの上方修正。「雇用者所得は依然として弱い動きとなっているものの、労働需給の引き締まりが進む中、賃金改善の動きが徐々に広がっている」としている。人手不足が強まり、パート・アルバイトの募集賃金上昇や既存社員のベースアップ、賞与増額に向けた動きが見られる。
 物価上昇は、消費に目立った影響は見られない。新型コロナ禍からのペントアップ需要や雇用情勢への安心感、観光客の消費増加などが理由とみられる。鴛海健起支店長は「物価上昇などの下押しリスクは、この1カ月で幾分小さくなった」と分析。「本県でも、賃金改善や設備投資、適正な価格設定が促されている。こうした人を大切にし生産性を高める動きが、大きい潮流となることを期待している」と述べた。


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